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Q&A
経営 (2015年11月号)
Q 医院の規模が大きいことによる問題点と対策
●当院は、現在チェアー9台、歯科医師4名、歯科衛生士6名の体制で診療しています。市街中心部のテナントのため、家賃も高く、経費負担が重くなってきています。収入増加を図るため、歯科医師、歯科衛生士を募集していますが応募がなく、なかなか計画どおりに進みません。医院の規模が大きいことによる問題点や対策のポイントを教えてください。
──神奈川県・Mデンタルクリニック
A
  複数の歯科医師を置く医院の場合、一人の歯科医師の増減が、医院収入に大きな影響を及ぼします。院長一人の医院との最も大きな違いは、規模が大きくなるほど、歯科医師、歯科衛生士、あるいはスタッフ等の人材確保が大きな問題となることです。
  中小企業等でも、同じような従業員数で構成される会社は数多く存在します。社長や営業担当者は他社との商談等で外出し、社内には事務を行う従業員が数人残るのみという光景が一般的です。つまり、数人の会社であっても、常に一緒にいるわけではありません。
  歯科医師の確保難は、歯科医師国家試験合格者数の減少や、歯科医院の大型化による人材の一極集中等が挙げられるでしょう。とくに歯科医師国家試験合格者数は、5年前から比較すると約400名、最も多いときから1,000名以上が減少し、勤務歯科医師の確保を難しくする大きな要因の一つとなっています。
  いずれにせよ、スタッフの確保、定着を図るためには、働く環境の整備が大切です。明確な就業規則や給与規定があり、規模に応じた社会保険等の福利厚生制度の整備は必要不可欠です。したがって、医院の規模が大きくなれば、給与賃金、賞与、法定福利費、福利厚生費を合わせた人件費率を、30%近くまで許容できる体制に整えておきたいものです。
  一方では、他の経費を徹底して抑える取り組みが必要です。スタッフ一人ひとりがコスト意識をもち、無駄な経費を省かなければなりません。水道光熱費や通信費、消耗品費、事務用品費、衛生管理費等のスタッフが関与できる経費は、日ごろから意識を高く保つためにも管理担当者を決め、毎月の費用の確認が大切です。医院の規模が大きくなり、動く資金が大きくなると管理が甘くなる傾向にあるため、毎月使用できる経費の額や比率を設定して管理していくことが最善です。
  人件費の次に大きくのしかかってくるのが家賃の問題です。現在は立地がよく、家賃負担も大きいようですが、収入の10%前後に収まっているかどうかを確認してください。収入に対する比率が10%を超えてくると、経営的に厳しくなります。また、許容できる水準は、15%が限度と考える必要があります。
  院長の年齢が上がるにつれ、収入が減少する傾向が強くなります。勤務歯科医師の確保難の問題を考えると、収入を確保できている時期に家賃の見直し交渉等も検討しておくとよいでしょう。周辺相場等にも注意を払いながら、現状に則した家賃体系へと話し合いの場をもつことも必要です。
  医院の規模が大きくなると人員管理のみならず、資金管理あるいは多くの設備管理まで、管理する内容や範囲が飛躍的に広がります。それらのすべてを管理するマネジメント力も問われることになります。時には、経営管理を補佐するスタッフの育成を行い、役割分担をしながら経営のかじ取りをすることも考えなければなりません。
  患者側も、あらゆる媒体で容易に歯科医院の情報が得られるようになり、自分の都合に合わせて比較的安易な転院が可能になっています。競争環境が激化するなかで、医院の規模を大きく保つのは非常に困難を極めます。医院の規模縮小や、収入が20%減少した場合の経営計画等、不測事態への対応計画を並行して検討しておくことも大切です。

門田 亮デンタル・マネジメント・コンサルティング

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