未払い治療費の請求方法
●診療費の未払いに手を焼いています。請求方法、回収方法について教えてください。
── 北海道・T歯科医院
2008年6月号の本コーナーで、外国人の未払い診療費の回収についてお答えしていますので、今回は、国籍を問わず、一般的な方法についてお答えします。
一般的に、まずは面会、電話または書面等で支払いを催促します。それでも支払わなければ、法的手続きに入ります。残念ながら、これ以外によい方法・実効的な方法は通常ありません。適当な法的手続きとしては、支払督促、少額訴訟、調停、訴訟があります。
支払督促とは、債権者の申し立てに基づいて、裁判所書記官が債務者に金銭の支払いを命じる制度です。支払督促が債務者に送達されてから、2週間以内に異議の申し立てがなければ、債権者の再度の申し立てにより、裁判所書記官が支払督促に「仮執行宣言」を付けることによって、債権者が強制執行できる状態となります。この「仮執行宣言」の付された支払督促は、債務者に送達されてから2週間以内に異議の申し立てがなければ確定します。この手続きのメリットは、通常の裁判(訴訟)よりも手数料が安いこと、債権者は裁判所に書面を提出するだけで出頭せずに済むこと、債務者から異議申し立てがなければ2週間ないし4週間で勝訴判決を得たに等しい効果を得られること、請求額に上限がないことなどが挙げられます。デメリットとしては、債務者が異議を申し立てると通常訴訟に移行するため、その場合には当初から訴訟を提起するよりも裁判開始までに時間がかかってしまうことが挙げられます。簡易な手続きですので、弁護士に依頼せずとも申し立て可能です。
少額訴訟とは、1回の期日で審理を終えて判決をすることを原則とする、特別な訴訟手続です。メリットとしては、原則として裁判所に1回出頭すればよく、迅速な解決が望めることが挙げられます。デメリットとしては、請求額が60万円以下の場合しか利用できないこと、証拠書類や証人は審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限定されていることが挙げられます。これも簡易な手続きであり、また、請求額も低いので、ご自身で行う手続きといえます。
調停とは、裁判所で行う話し合いです。メリットとしては、裁判所(調停委員)が間に入り、債務者の実際に即した解決方法を模索できることが挙げられます。デメリットとしては、あくまで話し合いですので、債務者が出頭しない場合や、合意に至らなかった場合には手続きが終了し、終局的解決にならないことが挙げられます。
訴訟のメリットとしては、証拠に制限がないこと、最終的には判決によって終局的に解決することが挙げられます。デメリットとしては、債務者が争えば解決までに数ヵ月から1年以上の時間を要すること、ご自身で行う場合には、何度も裁判所に出頭しなければならないこと(弁護士に委任すれば代わりに弁護士が出頭します)が挙げられます。
支払督促、少額訴訟、調停および訴訟のいずれであっても、債務者に支払いを命じる内容、または債務者が支払いを約束する内容で決着すれば、債権者は強制執行できるようになります。具体的には、債務者の預貯金口座を差し押さえ、給与を差し押さえ、所有不動産を競売にかけて金銭を回収できます。ただし、強制執行は、債務者に資産があり、かつ、債権者がその内容を把握していなければなりません。資産のない者から、またはどこに何があるのかわからない者からは、どれほど手間と費用をかけても回収できないのです。したがって、そのような患者の場合には、事前に予防策を講じることが望ましいといえます。たとえば主婦(主夫)のように、自己名義の資産に乏しいと思われる患者については、診療開始時点において、配偶者に連帯保証してもらうことも検討に値すると思われます。
一般的に、まずは面会、電話または書面等で支払いを催促します。それでも支払わなければ、法的手続きに入ります。残念ながら、これ以外によい方法・実効的な方法は通常ありません。適当な法的手続きとしては、支払督促、少額訴訟、調停、訴訟があります。
支払督促とは、債権者の申し立てに基づいて、裁判所書記官が債務者に金銭の支払いを命じる制度です。支払督促が債務者に送達されてから、2週間以内に異議の申し立てがなければ、債権者の再度の申し立てにより、裁判所書記官が支払督促に「仮執行宣言」を付けることによって、債権者が強制執行できる状態となります。この「仮執行宣言」の付された支払督促は、債務者に送達されてから2週間以内に異議の申し立てがなければ確定します。この手続きのメリットは、通常の裁判(訴訟)よりも手数料が安いこと、債権者は裁判所に書面を提出するだけで出頭せずに済むこと、債務者から異議申し立てがなければ2週間ないし4週間で勝訴判決を得たに等しい効果を得られること、請求額に上限がないことなどが挙げられます。デメリットとしては、債務者が異議を申し立てると通常訴訟に移行するため、その場合には当初から訴訟を提起するよりも裁判開始までに時間がかかってしまうことが挙げられます。簡易な手続きですので、弁護士に依頼せずとも申し立て可能です。
少額訴訟とは、1回の期日で審理を終えて判決をすることを原則とする、特別な訴訟手続です。メリットとしては、原則として裁判所に1回出頭すればよく、迅速な解決が望めることが挙げられます。デメリットとしては、請求額が60万円以下の場合しか利用できないこと、証拠書類や証人は審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限定されていることが挙げられます。これも簡易な手続きであり、また、請求額も低いので、ご自身で行う手続きといえます。
調停とは、裁判所で行う話し合いです。メリットとしては、裁判所(調停委員)が間に入り、債務者の実際に即した解決方法を模索できることが挙げられます。デメリットとしては、あくまで話し合いですので、債務者が出頭しない場合や、合意に至らなかった場合には手続きが終了し、終局的解決にならないことが挙げられます。
訴訟のメリットとしては、証拠に制限がないこと、最終的には判決によって終局的に解決することが挙げられます。デメリットとしては、債務者が争えば解決までに数ヵ月から1年以上の時間を要すること、ご自身で行う場合には、何度も裁判所に出頭しなければならないこと(弁護士に委任すれば代わりに弁護士が出頭します)が挙げられます。
支払督促、少額訴訟、調停および訴訟のいずれであっても、債務者に支払いを命じる内容、または債務者が支払いを約束する内容で決着すれば、債権者は強制執行できるようになります。具体的には、債務者の預貯金口座を差し押さえ、給与を差し押さえ、所有不動産を競売にかけて金銭を回収できます。ただし、強制執行は、債務者に資産があり、かつ、債権者がその内容を把握していなければなりません。資産のない者から、またはどこに何があるのかわからない者からは、どれほど手間と費用をかけても回収できないのです。したがって、そのような患者の場合には、事前に予防策を講じることが望ましいといえます。たとえば主婦(主夫)のように、自己名義の資産に乏しいと思われる患者については、診療開始時点において、配偶者に連帯保証してもらうことも検討に値すると思われます。
金田英一●銀座誠和法律事務所