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Q&A
歯科一般 (2014年12月号)
Q 歯ぎしり用ナイトガードの使用期間
●夜間、歯ぎしりをしてしまう患者さんへナイトガードを作製したところ、患者さんに「いつまで使い続ければ治りますか」と聞かれました。ナイトガードを使用しなければならない期間や、使用しなくてもよくなる指導法をお教えください。
──埼玉県・Mデンタルクリニック
A
  歯ぎしり(ブラキシズム)とは、非機能的な咬合接触が生じている状態を指し、覚醒時と睡眠時の歯ぎしりに分類されます。また、歯ぎしりには、上下の歯をすり合わせるグライディング(いわゆる歯ぎしり)、一定の下顎位で噛み締めるクレンチング、上下の歯をカチカチ噛み合わせるタッピングがあります。睡眠時の歯ぎしり(以下歯ぎしりと略す)は、2005年の国際睡眠関連疾患分類において、睡眠関連運動異常症に分類されています。
  歯ぎしりの大半は、睡眠周期のなかで、睡眠段階が深いノンレム睡眠からレム睡眠になる睡眠状態が不安定な期間に集中して発生するといわれています。また、歯ぎしりの発現は、自律神経活動の変化、脳活動の亢進、心拍数の増大が起こり、その後閉口筋の活動を中心とした歯ぎしりが起こることから、中枢神経系の活動が主要な役割を担っていると考えられ、歯の接触は2次的に生じているといわれています。また為害作用として、歯ぎしりが生理的耐性を超えると、歯や修復物だけでなく、咀嚼筋、顎関節など顎口腔系に破壊的に作用します。
  現在考えられている歯ぎしりの原因は、多因子性であり、ストレス、性格、遺伝、薬物、飲酒、喫煙、特定の疾患の関与が報告されており、加齢とともに減少することや、一過性あるいは一時的なものともいわれていますが、詳しくはわかっていません。ですから、歯ぎしりの原因は人によって違うこともあり、現時点では確実に歯ぎしりを治す治療法はありません。
  そうしたなかで、顎口腔系の保護のために、ナイトガードが一般的に用いられています。ナイトガードの効果について、装着した直後は、咀嚼筋の筋活動は減少するといわれています。ただその効果は一時的であり、2、3週間後には、ナイトガードをしていても歯ぎしりは元に戻ってしまうようです。ですから、ナイトガードを使うことで歯ぎしりが治るわけではないので、顎口腔系の保護を考える場合には使い続けることになり、その場合には、装着していることの為害作用がないように夜間のみ装着することや、適切に調整されたナイトガードを定期的に、その効果をモニタリングしながら評価していくことが必要です。
  ナイトガード使用で治らないとすると、使用しないでよくなる可能性のある方法があれば、その方法が重要になってきます。
  まず1つ目は、覚醒時の歯ぎしりを減少させることです。覚醒時の歯ぎしりについては睡眠時と違い、多くは悪習癖として捉えられています。覚醒時の歯ぎしりを自覚し、悪習癖を改善することで覚醒時の歯ぎしりが減少すると、睡眠時の歯ぎしりも減少するとの報告があります。
  次にリラクゼーションと自己暗示法です。この方法について具体的に説明いたします。布団に入り枕を低くし、後頭部の一番出っ張ったところより首の付け根近くに枕がくるようにします。すると頭が少し上を向くので、口が開きやすくなります。
  そして、リラックスをする方法ですが、力を抜くというのは通常でも難しいことです。力を抜くためには、最初に力を入れることがポイントです。まず1、2秒間強く噛みしめて、顎の力を抜いて歯を離してください。このときに呼吸も合わせて、力を入れる前に大きく吸って、力を入れるときに息を止め、脱力したときに大きく吐いてください。次に肩に思いきり力を入れて1,2秒したら力を抜いてください。ここでも呼吸を合わせてください。同様に胸、腹、太もも、そして最後に足の先に力を入れ、ストレスがすべてそこから出ていくようなイメージで大きく息を吐き出しながら脱力します。
  それから、自己暗示療法ですが、たとえば、次の日の朝大事な用事があって4時に起きなければいけないときに、目覚ましが鳴る少し前に目が覚めることがあると思います。同じように、リラックスして眠るという作業は、その気になればできるといわれています。先ほどの方法で力を抜いた後に、呼吸に意識を傾け、吐くときに脱力するのを繰り返しながら、手足やお腹が温かくなってくるのを感じてください。また、吐くときにリラックスすること、噛みしめないこと等を自分に言い聞かせます。そして、次の朝、すっきりさわやかに目が覚める自分の姿をイメージしながら眠りに入ってください。これが自己暗示療法です。その他にも、ストレスマネジメントや、寝る前に飲酒、喫煙、あるいは読書をしないなどに気をつけることも必要です。
  歯ぎしりの原因はわかっていないことから、いろいろな方法を試してもらいながら、顎口腔系の保護のため、夜間のみナイトガードを使用し、定期的に状態を確認して、歯ぎしりが減少しているようであれば少しずつ外すようにしてみるとよいのではないかと思います。
【参考文献】
1) 馬場一美,船登雅彦:ブラキシズム,日本顎関節学会(編).新編顎関節症.永末書店,京都,2013:43-46.
2) 谷口威夫:身近な臨床 ブラキシズム(その1)、日本歯科医師会雑誌、53(3):221-227,2000.

島田 淳東京都・グリーンデンタルクリニック

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