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Q&A
経営 (2013年10月号)
Q 開業立地についてのポイント
●現在、開業するための場所を探しているところです。資金的な面から、ビルテナントでの開業を考えておりますが、立地のメリットやデメリットなど、テナント開業の場合のポイントを教えてください。
──兵庫県・E歯科クリニック
A
  開業場所の選定については、開業への強い意志と、開業することによって何を成すかという、将来に向けた考えによって少しずつ絞られてくるものかと思います。
  立地条件については、人口構成や周辺歯科医院の競合状況などを勘案して、最適な場所を選定できるに越したことはありません。しかし、今よいとされる立地条件であればあるほど、たくさんの競合歯科医院が参入してくると考えられ、将来的に、立地条件としては悪い部類に入る可能性もあることを理解しておく必要があります。
  従って、立地条件のよさだけで患者さんを獲得できるのは、開業後2〜3年間までと考え、その数年のうちに先生の診療方針や理念を定着させることに全力を注ぐことが大切です。立地条件のよさだけで判断して開業をするのではなく、これから先生が行おうとする診療方針が、周辺住民の意思に合致しているかどうかを重要視する必要があります。
  一般歯科や小児歯科を標榜し、小児から老人まで診療の対象を広げ、幅広く診療を行おうとするのであれば、将来の周辺人口の伸びや人口構成が今後どのように変化するかを考えておく必要があります。
  一方、多くのスタッフを雇用することが苦手のため、1名のスタッフとともに自費診療のみで開業したケースもあります。このケースでは、遠方からの通院も可能にするため、新幹線の停車駅付近の路地裏テナントでの開業でした。一般的に立地がよいとされる場所とは対極をなすものです。
  開業の形態としては、資金的な面からビルテナントでの開業計画とのことですが、そのメリットとしては、
(1)開業資金が比較的低く抑えられる
(2)ビルの集客力を利用できる
(3)移転を必要とする場合に対応しやすい
といった点が挙げられます。
  一方、ビルテナント開業でのデメリットとしては、
(1)家賃が高い
(2)手狭になっても拡張性がない
(3)契約期間に制限がある(定期借家権等の更新条項のない契約)
などが挙げられます。
  現在は医療技術が急速に発展し、チェアーユニットやCT、あるいはマイクロスコープなどといった診療用設備に対する投資額も非常に大きくなってきています。開業時に十分な資金計画が確保できるという場合は別ですが、こつこつと貯金を進め、自己資金を元手に銀行融資を引き出す場合には、設備投資計画の他にも、開業後の収支計画・返済計画までを含めた、かなり綿密な事業計画が必要となるでしょう。
  特に、集客力がある商業ビルやショッピングセンター内でのテナントの場合は、毎月の家賃が驚くほど高い場合がありますから、集客力を利用し、いかに患者さんを獲得して固定経費を賄えるかが勝負となります。
  前述の、人通りが全くない裏通りで開業した歯科医院は、自費のみの診療であっても、その治療技術を求めて予約の電話が切れ目なく入り、診療2ヵ月待ちの状態でした。
  また一方で、診療圏調査時点ではあまり高い評価が得られない場所でも、自らがランドマークとして人の流れを呼び込むことができた歯科医院もあります。
  歯科医院が過剰で開業できる場所がないといわれますが、立地条件は年月の経過とともに変化するものであり、周辺競合歯科医院の院長の年齢もさまざまですから、調査数値だけでは計り知れないものがあります。多くの物件に足を運び、周辺で暮らす人々や街並みをつぶさに見ていくと、先生ご自身の診療方針や目指す歯科医院の姿が次第に整理されてくるでしょう。

門田 亮デンタル・マネジメント・コンサルティング

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