歯科,dental,Dental Diamond,デンタルダイヤモンド

歯科,dental,Dental Diamond,デンタルダイヤモンド
TopQ&A法律 > 私有地の無断使用に対する請求(2012年2月号)
Q&A
法律(2012年2月号)
Q 私有地の無断使用に対する請求
●私は県道に面した土地を所有しており、その一部を当院の駐車場として使用し、残りの部分を賃貸駐車場として使用しています。以前から、「道路工事をするため、資材を置かせてほしい」と業者からよく頼まれていたのですが、これを断ってきました。しかし、土地上に無断で車両を止めたり、資材を置くなどして、工事を開始されてしまいました。この場合、業者に使用料を請求することは可能でしょうか。可能だとすれば、妥当な金額はどれくらいでしょうか。また、金銭以外にも何か請求できるのでしょうか。
──広島県・M歯科医院
A
  まず、所有権についてご説明します。所有権とは、絶対性を有する権利、すなわち他人に権原を与えないかぎり、その物を自由に利用・処分でき、誰に利用させ、また、誰に利用されないかを決定することができる権利のことです。従って、ご質問のケースのように、他人である工事業者が先生の土地を無断で使用することは、土地所有権の侵害になります。
  そして、土地所有権が侵害された場合、金銭の支払いを請求すること、すなわち所有権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。損害額について妥当な金額はケースバイケースなので一概には言えませんが、所有地の一部を賃貸駐車場として使用しているとのことですので、その使用料相当額を損害額とする考え方が合理的と思われます。この他にも、無断使用により生じた損害があれば、相当な範囲で賠償請求が可能です。
  また、無断使用が継続しているようであれば、金銭支払請求だけでなく、無断使用そのものについて差止請求することも可能です。最も気をつけなくてはならないのは、あくまで使用の差止めを請求できるだけであり、先生が勝手に工事業者の車両や資材を撤去・処分することはできないということです。仮に、工事業者に無断で車両等を撤去・処分してしまったら、工事業者の車両等の所有権を侵害したとして、逆に工事業者から損害賠償請求されかねません。
  採るべき具体的手段としては、まず工事業者に対し、車両等の撤去、今後の土地の不使用及び撤去日までの使用料相当損害金の支払いを請求します。工事業者が任意に応じればよいのですが、応じない場合は訴訟を提起して同様の請求をします。そして、勝訴判決を取得し、判決に基づいて強制執行します。車両等に価値があれば、これを競売にかけて換価し、そこから執行費用や使用料相当損害金等を回収します。この場合、車両等は競落人が持ち去るでしょうから、事実上撤去も完了します。車両等に価値がなければ、撤去自体について強制執行します。その後、執行費用や使用料相当損害金等について、例えば預金口座や不動産等の工事業者の資産に対して強制執行し、回収します。
  このように、工事業者が任意で撤去等に応じない場合、非常に手間のかかる手順を踏むことになります。そのため、例えばフェンスを設けて物理的に無断使用できないようにするなど、日頃から何らかの対策を講じておくことが望ましいといえます。

金田 英一銀座誠和法律事務所

歯科,dental,Dental Diamond,デンタルダイヤモンド
<<法律一覧へ戻る
※過去に制作したものなので、現在の法令と異なる場合がございます。
歯科,dental,Dental Diamond,デンタルダイヤモンド
歯科,dental,Dental Diamond,デンタルダイヤモンド