中間神経

 顔面神経は、表情筋を動かすための運動神経(特殊内臓遠心性線維)からなる主要部と、顎下腺、舌下炎、涙腺などの分泌を支配する副交感神経と外耳皮膚の感覚(一般感覚線維)と舌前2/3、軟口蓋、硬口蓋の味覚を伝える感覚性(特殊内臓性求心性線維)からなる小部の中間神経で構成されている。
中間神経は延髄で顔面神経と前庭神経の間にあることから名付けられた。中間神経の一般感覚神経は外耳道、鼓膜外面と耳甲介の後の狭い領域に分布している(図1)。
顔面神経の主要部が遠心性運動神経で、眼輪筋、頰骨筋、頰筋、口輪筋、口唇筋などの表情筋と、広頸筋、茎突舌骨筋、アブミ骨筋、顎二腹筋後腹などを支配している。
顔面神経麻痺は、文字どおり顔面の表情筋の運動麻痺の他に聴覚過敏(あぶみ骨筋麻痺)、さらには味覚鈍麻、唾液不足、涙が出ないなどの症状を伴うことが多い。従来、ベル麻痺と呼ばれていた原因不明の顔面神経麻痺は、現在は単純疱疹によるもので数週~数ヵ月で改善するといわれている。
一方、ラムゼイハント症候群は、 水 痘・ 帯 状 疱 疹 ウ イ ル ス(varicella-zoster virus:VZV)の再活性化による耳介周囲顔面神経(中間神経支配領域:図1)の帯状疱疹、 顔面神経麻痺、耳鳴・難聴・めまい等の第8脳神経(聴神経)症状を3主徴とするもので、後遺症として有痛性中間神経ニューロパチー(帯状疱疹後神経痛)、顔面神経麻痺、難聴などの症状が生ずることが多く、非常に難治である。

デンタルダイヤモンド
2023年2月号
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