位相差顕微鏡ってどんなもの?
位相差顕微鏡は、無色透明な細胞や細菌を、染色せずにそのまま観察できる特別な顕微鏡です(図1)。普通の光学顕微鏡では、こうした透明な構造は光をほとんど吸収しないため、像としてはほとんど見えません。

オランダの物理学者、フリッツ・ゼルニケ(Frits Zernike:図2)は、この問題を解決するために、光が試料を通過することで生じる「位相のずれ(phaseshift)」に注目しました。

ゼルニケは、以下の偉業を成し遂げています。
●透過光のうち、背景の光(直進光)と、試料によって偏光された光(散乱光)の位相差を人工的に強調する方法を考案した1)
●考案した方法を「位相差顕微鏡観察法(phase contrast method)」として、1942年に論文を発表した2)
この技術により、これまで“透明すぎて見えなかったもの”が、明暗のコントラストとして浮かび上がるようになったのです。
ゼルニケのこの発明は、生きた細胞や微生物を非染色・非侵襲でリアルタイムに観察できる画期的な手法として世界中に広がりました。その功績により、彼は1953年にノーベル物理学賞を受賞しています(図3)。
現在では、この技術が以下の幅広い分野で応用されるようになっています。

とくに、歯科では、プラーク中の細菌の動きや構造を生きたまま観察できるという点で、位相差顕微鏡は非常に大きな役割を果たしています。
【参考文献】
1) Zernike F: Beugungstheorie des schneidenver-fahrens und seiner verbesserten form.
der phasenkontrastmethode. Physica, 1(7-12): 689-704, 1934.
2) Zernike F: Phase contrast, a new method for the microscopic observation of transparent objects.
Physica, 9(7): 686-698, 1942.
●位相差顕微鏡に関する基礎知識 はこちらから読めます。
●位相差顕微鏡とは何か:歯科でどう役立つの? はこちらから読めます。
●位相差顕微鏡とは何か:ふつうの明視野顕微鏡とどう違うの? はこちらから読めます。
●位相差顕微鏡とは何か:どうして染めなくても見えるの? はこちらから読めます。
●位相差顕微鏡とは何か:見えなかった世界が見える! はこちらから読めます。
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