- 院内スタッフが不足しているため採用を強化したいと思います。スタッフを募集するにあたり、応募者に提示する内容や医院で行うべき取り組みなど、重要となるポイントがあればご教示ください。 千葉県・R歯科医院
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新たなスタッフの採用や安定した人員確保が困難を極める昨今ですが、医院の体制を整備し、医院情報を余すところなく提示することは、どのような状況であっても大切なポイントといえるでしょう。以下に解説します。
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1.勤務条件を整備する
院内での給与体系について、初任給のみならず、中途採用時の給与についても規定します。経験年数や年齢に応じたベースアップの考え方や、応募者が保有する資格や免許による手当支給の考え方などを給与規定として整備します。
また、始業時間・終業時間を定めた所定労働時間や、医院の休診日のほか夏季休暇・冬期休暇などの休日の考え方、年次有給休暇・産前産後休業、育児休業等の休暇への対応など、就業規則における絶対的記載事項に相当する箇所については、明確に条件整備を行うようにしてください。
2.労働環境を整備する
健康保険や年金などの社会保険の整備状況については、求職者が注視する点でもありますので、社会保険加入の適用要件に合致する場合は整備を進めます。
その他、スタッフルーム内での個人所有物へのセキュリティ対策が適切に行われていることや、休憩時間に十分寛ぐことができる環境整備を行います。また、就業時間内には先輩スタッフとの良好なコミュニケーションがあり、先輩から新人への業務指導方針が整っていることも、スタッフの定着率を高めるうえでの大切なポイントです。
3.医院の特長を可視化できているか
求職者に対して見えにくい部分の条件などについて、面接等においてあきらかにできるような資料を準備するようにします。たとえば、院内の昇給計画が周辺環境に比べて優位性がある場合は積極的に提示します。
現在においては、厚生労働省が定める最低賃金の引き上げが大きくなってきており、全国平均の引き上げ率でみると2024年度には5.1%、2025年度には6.3%もの高水準となりました。
したがって、これを上回る昇給計画はスタッフにとってのメリットになりますし、賞与を含めた年収基準を高く設定されている場合は、表やグラフでわかりやすく示すと、医院の特長への理解が進みます。
その他、院内で行う勉強会や外部の研修会、学会への参加がある場合は、その内容や費用負担について説明を行うことが大切です。また、研修旅行の計画などがあれば提示するとよいでしょう。
4.人員構成・人件費計画を立てる
採用環境の激化や最低賃金の上昇に伴って、さらなる人件費の高騰が危惧されますが、慌てることなく経営計画を立てることを検討します。まずは医院の診療方針に基づいて、どの職種を何名配置する必要があるかを明確にします。
次に、各スタッフの給与や賞与の概算を出し、それに伴う社会保険料を含めて、年間の人件費を計画します。
1年のうちには退職者があり、その後任の人件費が二重にかかる期間があります。したがって、計画段階においては、1人分の人件費の約半年分程度の費用を多く見積もるようにします。
多くの人が集まる街の中心部では人の入れ替わりが激しく、給与・賞与などの賃金水準や、社会保険の整備状況などが応募者を集める要素となりますが、面接を受けた方の自宅周辺に医院があるといった生活環境が近い場合は、長く勤められる環境かどうかが大切になるでしょう。
立地周辺環境に応じて、重視するポイントを見極めた採用計画を進めるようにしてください。門田 亮
デンタル・マネジメント・コンサルティング

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