Dd診断力てすと『舌の発赤、びらん』デンタルダイヤモンド 2019年06月号

横尾 聡 Satoshi YOKOO
 小川 将 Masaru OGAWA
 栗原 純 Jun KURIHARA
 伊東慶介 Keisuke ITOH
群馬大学大学院医学系研究科 口腔顎顔面外科学講座・形成外科学講座
〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22

図❶ 初診時の舌所見

a:エコー像。矢印:深達度2.1mm

b:造影MRI(T1/Gd-MRI)。
矢印:造影された病変

図❷ 画像所見



患者:34歳、女性
主訴:舌の左側が赤い
既往歴:5歳時に血管性紫斑病
家族歴:父親が膵臓がんにて死亡
生活歴:飲酒;なし、喫煙;なし
現病歴:201X年10月ごろより、左側舌縁に発赤を自覚し、時折接触痛が認められていた。翌年2月ごろに芸能人の舌がんの報道を見て不安になり、近医歯科を受診した。左側舌側縁に発赤と直径5mm程度のびらんが認められたため、同院歯科医師が接触するの咬頭を研磨して2週間経過観察を行った。しかし、発赤、びらんの改善が認められなかったため、同日、精査目的に群馬大学医学部附属病院歯科口腔・顎顔面外科を紹介受診した。
現症:体格は小柄であった。倦怠感、熱発など、全身的特記事項は認められなかった。口腔内は左側舌縁に5mm程度のびらんを伴う直径約10mmの赤色病変が限局して認められた(図❶)。周囲に硬結は存在しなかった。領域リンパ節の腫大などの異常所見は認められなかった。
初診時血液検査:末梢血、生化学、腫瘍マーカーのいずれも、異常値は認められなかった。
画像所見:生検の同日、舌エコーおよび各種画像を撮影した。舌エコーでは進達度は2.1mmであった。造影MRI(T1/Gd-MRI)では4×16×6mmの高信号を呈する腫瘍性病変が描出された(図❷)。また、造影CTでは転移を疑うリンパ節は描出されなかった。FDG-PETでは舌病変に一致した部位にSUVmax:3.2の淡い集積が認められるのみであった。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 舌扁平苔癬
舌癌
③ 自己免疫疾患

ウイルス感染