Dd診断力てすと『右上顎前歯部の無痛性腫脹』デンタルダイヤモンド 2017年4月号

奥山秀樹 Hideki OKUYAMA
土屋沙枝子 Saeko TSUCHIYA
中西義崇 Yoshitaka NAKANISHI
佐久市立国保浅間総合病院 歯科口腔外科


図❶ 初診時の口腔内写真

図❷ パノラマX線写真

図❸ CT画像


患者:22歳、男性
主訴:右上顎歯肉の腫脹
既往歴:特記事項なし
家族歴:特記事項なし
現病歴:2ヵ月前より右上顎前歯部に無痛性の腫脹を自覚していた。症状に変化がないため、当科受診となった。
現症:体格中等度、栄養状態良好、発熱なし。口腔外所見では右鼻翼から頬側にかけて骨様硬で無痛性のび漫性腫脹を認めた。口腔内所見は、32頬側歯肉に正常粘膜で被覆され、骨様硬の半球状の膨隆を認めた(図❶)。自発痛、圧痛はともになかった。また、32はともに生活反応(+)であった。
画像所見: パノラマX線写真にて、の歯根間に、類円形の境界が比較的不明瞭なX線透過像が認められた。また、歯根離開が認められたが、あきらかな歯根吸収は認められなかった。歯槽硬線は不透過像と接する部分で消失していた(図❷)。
CT画像にて、321の歯根を含む直径22×20×19mm大のやや不整形の透過像を認めた。病変は唇側へ膨隆し、唇側皮質骨が一部菲薄化して連続性が消失していた。また、鼻腔底を軽度に挙上していたが、上顎洞への交通は認めなかった。病変周囲の骨は粗造であった(図❸)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 球状上顎嚢胞
エナメル上皮腫
③ 歯原性線維腫

角化嚢胞性歯原性腫瘍