平尾功治 １） Kouji HIRAO
二宮雅美 ２） Masami NINOMIYA 湯本浩通 ２） Hiromichi YUMOTO
１）徳島大学大学院医歯薬学研究部 歯科保存学分野 ２）同 歯周歯内治療学分野
図❶ 初診時の口腔内写真
図❷ 初診時のＸ線写真
図❸ CBCT画像
図❹ 根尖部の病理組織像➀
患者：21歳、女性
主訴：2⃣根尖部透過像の精査と加療
現病歴：叢生のため矯正治療を希望し、当院矯正歯科を受診した。矯正前のＸ線検査において、2⃣の根尖部に透過像が認められ、精査と加療のため保存科を紹介されて来科した。
既往歴：特記事項なし
現症：2⃣に自発痛や打診痛、根尖部圧痛や歯肉腫脹は認められなかった（図❶）。また、電気歯髄診には正常反応を示した。歯周組織検査では、プロービングデプスは全周２mm以下であり、動揺も認められなかった。
Ｘ線写真所見：2⃣に根尖部を取り囲む透過像が認められ、透過像内部に不透過性の小塊も認められた（図❷）。CBCT撮影を行ったところ、2⃣根尖部に歯根膜腔と連続した透過像を認め、唇側の皮質骨は一部菲薄化していた（図❸）。
病理組織検査：舌に多数の点状の紫斑あり、その一部に出血痕あり
血液所見：確定診断のため、2⃣根尖部の生検および病理組織検査を行った（図❹）。
Q 最も疑われる疾患名は？
① 歯根嚢胞
② 根尖性歯周炎
③ 静止性骨空洞
④ セメント質骨異形成症