本のエッセンス|はじめに:インプラント大技帖50

本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行に寄せて」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行に寄せて」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、インプラント大技帖50です。

はじめに

 「あっという間に終わりましたね」
 「なるほど、この順番でやればよいんですね」
 私が出張手術に行った先でよくかけられる言葉(第二弾)です。前著『インプラント小技帖50』が好評で、続編を望む声が少なからずあったそうです。筆者は、普段よりこのような技ともいえる項目を書き留めておりましたので、そのなかから本書にはちょっと高度な技を集めてみました。小技の次なので「大技」です。しかし、ごく一部の神ワザ外科医にしかできないような治療は取り扱わず、普段のインプラント治療に必要な処置をふんだんに盛り込みました。おもな話題はサイナスリフトやソケットリフト、全顎インプラントなどになりますが、デジタルデンティスリーなどの最近のインプラント治療の潮流も網羅したつもりです。前著と同様に、これまでにいろいろな先生方に教えていただいた内容も含まれていますが、筆者の「血となり肉となり」、臨床の礎になっておりますので、ご容赦いただければ幸いです。それぞれの技には必要なツールがあり、それらを取り扱っているメーカーもそのつど記載しておりますので、ご参照いただければと思います。
 さて、インプラント治療はチーム医療であり、携わるすべての人が治療について共通認識をもっていなければなりません。本書も歯科医師のみならず、歯科衛生士や歯科技工士、歯科助手、受付、メーカー担当者、すべての歯科医療関係者に読んでいただきたく、内容を構成しました。そのため、学術的な教科書で使うような文言はあえて使っておりません。たとえば、「テクニックセンシティブ」や「ゴールドスタンダード」などの言葉は使わず、それぞれ「ムズカシイ」や「おもに使われていた」などとしました。外来語も、字数の節約に繫がるアルファベットの略称以外はなるべくカタカナ表記にしました。また、言葉遣いも少し砕けた口語に寄せていますので、肩肘張らずにお読みいただければ幸いです。
 インプラントにかかわる書籍は、外科→補綴の流れのなかで提示するのが基本ですが、本書のコンセプト上、外科の写真のみで終わっている項目もあります。大技です! と大風呂敷を広げましたが、本書の目的は「ムズカシイ症例に挑戦させること」ではなく、読者の「引き出しを増やすこと」です。第1作目がヒットした映画の続編はだいたいツマラナイものが多いですが、そうならないように頑張りました。では、インプラント治療の技集、第2幕のスタートです。


柴原清隆

CONTENTS

著者略歴

柴原清隆(しばはら きよたか)

2000年   長崎大学歯学部卒業
2000年   佐賀大学口腔外科研修医
2006年   長崎大学大学院医歯学薬学総合研究科修了
       長崎大学大学院医歯学薬学総合研究科
顎口腔再生外科学分野教授
2009年   医療法人立山勤務
2009年   花等歯科医院副院長
2014年   柴原歯科医院太宰府インプラント研究所院長
現在に至る

◆主な所属学会
日本顕微鏡歯科学会 認定医・代議員
日本口腔外科学会
日本口腔インプラント学会
日本顎顔面インプラント学会
日本口腔診断学会
ヨーロッパインプラント学会 (EAO)
アメリカインプラント学会 (AO)
アメリカ顕微鏡歯科学会 (AMED)