- ジルコニアクラウンの接着時、余剰セメントの除去をスムーズに行う工夫はありますか。また、マイクロスコープを用いて余剰セメントの取り残しを確認するコツも教えてください。 栃木県・D歯科クリニック
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セラミック修復全盛の現在、接着性レジンセメントの使用率は、以前に比べ格段に増えました。歯冠色に近似した接着性レジンセメントの余剰分を正確に除去することは、医原性疾患を作らないためにとても大切な処置と考えます。
以下に、筆者がジルコニアクラウン接着時に行っている工夫を列挙します。図❶ 補綴物にワセリンを
塗布する図❷ 支台歯へのボンディング材の塗布前にテフロンテープを巻く 図❸ マイクロスコープで歯間部の余剰セメントを除去する
1.ワセリンを使う(図1)
セット直前に、マージン付近に水溶性ワセリンを一周塗布します。内面に入らないよう拡大視野下で慎重に行います。これにより補綴物周囲の硬化セメントが剝がれやすくなります。
2.テフロンテープを使う(図2)
支台歯にボンディング材を塗布する前に、隣在歯を覆うようにテフロンテープを巻きます。この一手間で、隣在歯に付着した余剰セメントの除去を行う必要はなくなります。
3.照射の仕方
セット時、探針でマージン周囲を触れて、補綴物の浮き上がりがないことを確認してから、ロールワッテを嚙ませたまま照射して半熟硬化の状態にします。
嚙ませたまま、頰側のセメントと近遠心歯間部のセメントを一塊にして除去します。
その後、クラウンが浮かないように指で押さえながら舌側の光照射を行い、セメントを外します。再度ロールワッテを嚙ませて、頰側から十分に光照射を行った後、全方向から照射して完全硬化させていきます。
4.歯間部のセメント除去(図3)
圧倒的にセメントの取り残しが多いのは歯間部です。ここからマイクロスコープを使用します。
頰・舌側どちらかに置いたミラーに焦点を合わせ、反対側からエアブローを行い、滲出液や出血を飛ばして視界をクリアにします。そして、探針(もしくは3A探針)で押し出すようにセメント除去を行います。
セメントの塊がコンタクト直下に付着している場合は、デンタルフロスで落下させて、再度、拡大視野下で落とした塊を探針で除去します。
完璧を期すため、必ず、頰・舌両側から同じ処置を行います。
5.確認用のアポイントを取る
日を改めて出血のない状況で、細かいセメントの取り残しがないかを確認します。
必要があれば、探針やミニファイブなどを使って除去します。関口寛之
埼玉県・関口歯科

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学術・経営・税務・法律など歯科医院での治療・経営に役立つQ&Aをご紹介いたします。今回は、月刊 デンタルダイヤモンド 2025年5月号より「余剰セメントを完全に除去するポイント」についてです。