野村城二 Joji NOMURA
伊勢赤十字病院 歯科口腔外科 〒516-8512 三重県伊勢市船江1-471-2
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図❶ 初診時の口腔内写真。舌(a)、下唇(b)、右側頰粘膜(c)に大小、不定形の潰瘍を認める
患者:74歳、男性
初診:2019年6月
主訴:舌の疼痛
既往歴:2014年、喉頭がんにて放射線治療。2019年5月、アルツハイマー型認知症。その他、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、白内障があり、常用薬はメマンチン塩酸塩のみであった。
現病歴:初診の数ヵ月前に舌背部の粘膜が剝離、出血し、摂食時に疼痛を認めたため、近歯科を受診。含嗽薬が処方されたが、症状の改善はなかった。今回、肺がん治療を目的に当院呼吸器内科に入院した際、舌潰瘍と出血を指摘され当科へ紹介となった。
現症:全身所見;やせ型で発熱や倦怠感はなく、消化器、眼症状などはなかった。
口腔内所見;両側舌縁部および舌背部と右側頰粘膜、下唇部に大小、不定形で一部で偽膜を伴った潰瘍がみられた(図1)。また、病変周囲の硬結や出血はなかったが、接触痛がみられた。
画像所見:パノラマX線写真でとくに異常像はみられなかった。
血液検査所見:血液検査ではCRP値1.28mg/dLと軽度上昇を示したが、その他異常値はなく、抗デスモグレイン1、3抗体、抗BP180抗体も基準値内であった。また、単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス抗体価はそれぞれ32倍、8倍、32倍であった。細菌培養検査所見:α溶血性連鎖球菌が検出された。
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① アフタ性口内炎
② 天疱瘡/類天疱瘡
③ 悪性腫瘍
④ サイトメガロウイルス感染症
\こちらの回答は月刊 デンタルダイヤモンド 2022年9月号に掲載中!/
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今回は2022年9月号より、「口腔粘膜多発潰瘍」についてです。