栗田 浩 Hiroshi KURITA
信州大学医学部 歯科口腔外科

患者:50歳、女性
主訴:7部の違和感および疼痛
既往歴:17年前に乳癌の治療を開始し、7年前からデノスマブ(販売名:ランマーク®)の投与を受けている。
アレルギー:なし
家族歴:特記事項なし
現病歴:以前から7部に違和感を認め疼痛を繰り返していたが、疼痛が強くなり、加療を希望し来院した。
現症:全身状態はほぼ良好で、日常生活に支障を認めていない。口腔外所見では特記すべき事項なし。口腔内衛生状態はほぼ良好で、歯石の付着もほとんどみられなかった。7は金属冠が装着されており、周囲歯肉に軽度の発赤・腫脹を認めた。また、軽度の歯の動揺と、咬合痛および打診痛を認めた。
画像検査所見:パノラマX線写真(図1)により、7が根管治療済みであることと、遠心根周囲の境界不明瞭な透過像、および近心根の歯根膜腔の拡大を認めた。補綴物を除去したところ、根分岐部での歯根破折があきらかとなった(図2)。
臨床診断:歯根破折、慢性根尖性歯周炎
処置および経過:医科主治医と対診したところ、病勢はコントロールされており、長期生存が期待できる状態であるとのことであった。また、抜歯処置は可能であるが、デノスマブの投与は継続が必要とのことであった。抜歯に関する益と害および薬剤性顎骨壊死(MRONJ)の可能性を十分説明したところ、患者は抜歯を希望したため、抜歯を行うこととなった。
Q 骨吸収抑制薬を投与され
ている患者において、注意
すべき画像所見はどれか?
ている患者において、注意
すべき画像所見はどれか?

① 歯根膜腔の拡大
② 垂直的歯槽骨吸収
③ 根尖部の透過像(境界不明瞭で比較的大きなX 線透過像)
④ 著明な骨硬化
\こちらの回答は月刊 デンタルダイヤモンド 2025年3月号に掲載中!/
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月刊デンタルダイヤモンド誌に長年掲載され、読者の先生方に人気の「Dd診断力てすと」。
今回は2025年3月号より、「骨吸収抑制薬内服患者の歯科X線所見」についてです。