Contents
刊行にあたって
2023年春、こども家庭庁が設置され、「こどもまんなかの社会」の実現に向けた取り組みが動き出しました。子どもと家庭の福祉と健康の向上のために、私たち歯科医療者もこの大きな流れに貢献したいところです。
実際に子どもたちの口腔を守っているのは、子どもたちが通院している地域の一般開業医の先生方です。先生方は、子どもが多様性に溢れていることや、予測もつかない成長発育があるところに、やりがいや醍醐味を感じていらっしゃるのではないでしょうか。しかし、臨床現場における子どもへの対応や保護者への説明は、そうした多様性や成長発育があるからこそ難しいという声も多く聞かれます。さらに、同じ処置であっても子どもの年齢によって治療方針が異なるのも悩ましいところです。
そこで本増刊号では、小児歯科診療を行ううえで疑問に感じやすい項目をQuestion として設定し、ポイントを絞った Answer を、乳歯列期、混合歯列期、永久歯列期の3つの成長発育段階に分けて解説し、子どもの発育段階に応じた知識を整理できるようにしました。
第1章では患児・保護者とのコミュニケーションを中心に、第2章では治療のベーシックを、第3章ではアドバンスとして、日常の臨床で活用しやすい順序と構成になっています。本増刊号に収載した27の Questions への回答は、各分野のエキスパートの先生が担当しており、科学的根拠に基づいた最新の知見や情報が盛り込まれ、実際の症例を交えた解説をいただいています。How toに留まらず、執筆された先生方の診療に対するパッションはもちろん、温かい愛情に溢れた思いや考えを感じてほしいと思います。
多くの先生方の手と心が小児歯科医療に向かい、歯科医療のなかでも、「こどもが真にまんなか」になることを期待しています。未来を担う子どもたちの健全な口腔を育み、一人でも多くの子どもたちが輝く笑顔になれるよう、本増刊号を役立ててもらえれば幸甚です。
2023 年6月
編集委員一同
CONTENTS
浜野美幸(はまの みゆき)
1986 年 東京歯科大学卒業
1990 年 東京歯科大学大学院歯学研究科(小児歯科学)修了
2003 年 千葉歯科医院 院長
現在に至る
——————————————————————-
日本小児歯科学会 専門医指導医
東京歯科大学非常勤講師(小児歯科学)
昭和大学客員講師
日本小児歯科学会常務理事(小児保健担当)
岡 暁子(おか きょうこ)
1997 年 九州大学歯学部卒業
2001 年 九州大学大学院歯学研究院修了
2004 年 南カリフォルニア大学歯学部 研究員
2008 年 日本大学歯学部解剖学第二講座
2009 年 福岡歯科大学生体構造学講座機能構造学分野
2011 年 福岡歯科大学成長発達歯学講座成育小児歯科学分野2022 年 同 教授
現在に至る
——————————————————————-
日本小児歯科学会 専門医指導医
日本口蓋裂学会 認定士(小児歯科)
大川玲奈(おおかわ れな)
2002 年 大阪大学歯学部卒業
2006 年 大阪大学大学院歯学研究科小児口腔保健学修了
2006 年 大阪大学歯学部附属病院 医員(小児歯科)
2012 年 大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学教室 助教
2014 年 大阪大学歯学部附属病院小児歯科 外来医長
2015 年 大阪大学歯学部附属病院小児歯科 講師
2022 年 大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学教室 准教授
大阪大学歯学部附属病院小児歯科 副科長
現在に至る
——————————————————————-
日本小児歯科学会 専門医指導医
日本障害者歯科学会 認定医
本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行に寄せて」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行に寄せて」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『子どものお口の発育段階別で答える 小児歯科のQ&A27』です。