岩﨑智幸
●日本臨床歯科学会熊本支部(熊本SJCD)
●Studio IMO・PHOTOLOGIC代表
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1. 審美性の高い口腔内写真とは
「審美」と聞くと見た目の美しさだけにフォーカスされがちです。しかし、本来、審美とは、「美醜を見分けること」、「自然や美術などのもつ本当の美しさを的確に見極めること」、また、「美の本質・現象を研究すること」を指します。すなわち、審美性の高い写真とは、歯や歯周組織の本来の美しさを的確に写した写真のことなのです。
本稿では、「そのものズバリが写った口腔内写真」を撮るためのポイントを説明します。
2. 審美性の高い写真を撮るには
口腔内撮影のため、歯科業界向けに販売されている、いわゆる口腔内カメラは、口腔内の情報の記録を目的とした規格写真の撮影に特化したカメラです(図1)。これはどの角度からでも、どの倍率でも被写体にフラッシュの光が行き届く素晴らしいカメラです。
このカメラのシステムは、フラッシュの光をカメラのレンズ先端より比較的狭い発光面から、被写体の正面に向けて照射して撮影します。ただ、被写体に光が正面から当たることにより、凹凸が失われやすくなります。すなわち、被写体のもつ本来の質感を損うことになります。
したがって、被写体の質感を再現する、審美性の高い写真を撮影するためには、被写体に対して正面から発光せず、角度をつけ、なおかつ露光にムラを作らないように左右から照射します。
そして、発光面が広くなることで柔らかい光となり、被写体にフラッシュの発光面が写り込む現象が起こります。写真の業界では眼球に写り込むフラッシュの発光面を「キャッチライト」と呼びます。これと同じ現象が起こり、歯や歯肉に艶が表現されます。これを上手く利用して審美性の高い撮影を行います。
また、フラッシュは、リング状ではなく左右に発光体が独立したサイドフラッシュにして発光面を広くします。発光面のサイズは、レンズの焦点距離とセンサーサイズにより異なります。発光面から被写体までの距離と発光面の面積の対角線距離程が理想的です。それより発光面が狭いと、規格写真用のライティングに近づき、広すぎると発光面が写り込みすぎて質感が損われてしまいますので注意しましょう(図2、3)。
図❶ 規格写真撮影用のカメラ(左)と審美性の高い写真撮影用のカメラ(右)の例
岩﨑智幸
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学術・経営・税務・法律など歯科医院での治療・経営に役立つQ&Aをご紹介いたします。今回は、月刊 デンタルダイヤモンド 2024年5月号より「審美性の高い口腔内写真を撮るコツ」についてです。