Q&A 小児 お薬が苦手な子どもに勧める4つの服薬方法|デンタルダイヤモンド 2024年5月号

Q&A 小児 お薬が苦手な子どもに勧める4つの服薬方法|デンタルダイヤモンド 2024年5月号

学術・経営・税務・法律など歯科医院での治療・経営に役立つQ&Aをご紹介いたします。今回は、月刊 デンタルダイヤモンド 2024年5月号より「お薬が苦手な子どもに勧める4つの服薬方法」についてです。

当院は小児歯科を専門としていますが、鎮痛薬を処方すると、保護者から「子どもが薬を嫌がり、口に入れても出してしまいます」とよく相談を受けます。どのようにアドバイスすればよいでしょうか。 熊本県・O歯科

 小児歯科診療では、鎮痛薬と抗菌薬が処方される機会が多いと思います。子どもに対する処方は、体重に応じて投与量を調節する必要があるため、一般的に粉末の状態で処方します。小児用の粉薬は、ドライシロップと混合されていたりして、苦みを感じさせないような工夫がなされています。しかしながら、薬の味を敏感に感じとり、吐き出したりするので、保護者が苦労されている話はよく聞きます。
 以下に、小児歯科診療における薬の処方について、服用方法で工夫できる点などを示します。

1. 市販の服薬補助ゼリーなどを使用する
 最近では、服薬を補助するゼリーに子どもが好みそうなフレーバーをつけたものが市販されています。使用する際のポイントは、粉薬とゼリーを混ぜずに、粉薬をゼリーで包んで“ゴックン! ” させることです。
 嚙まずに(味わうことなく)嚥下させる必要があるので、こちらの説明をある程度理解できる年齢の幼児が対象になるかと思います。また、この方法は将来、錠剤を飲めるようになる練習にもなります。

2. チョコレート味の濃いアイスクリームに混ぜて与える
 アイスクリームは冷たいので、舌の表面を冷やし、味を感じにくくする効果があります。また、前述の市販の服薬補助ゼリーにもチョコレート風味があるように、チョコレートは味も香りも強いので、果物などのフレーバーよりも粉薬の味を感じさせない効果が高いと思われます。
 筆者の子育て経験からも、バニラ系のアイスクリームよりチョコレート系のアイスクリームのほうが、多めの粉薬を混ぜても大丈夫という感覚があります。少し贅沢なメーカーのアイスクリームのほうが、味が濃いのか、単純に美味しいのか、嫌がらずに服薬してくれていました。筆者は「病気のときは、いつもより美味しい物だよね! 」と思って、少し贅沢なアイスクリームと粉薬を混ぜていました。

3. 坐剤(座薬)を処方する
 鎮痛薬であれば、坐剤で処方できます。1個の坐剤を体重に合わせて、必要であれば1/2や2/3個に包装のままカッターなどで切って使用します。
 また、冷蔵庫に保管しますが、使用するときは人肌に温めて、また坐剤の周りにオイルを塗るなどして、肛門挿入時の刺激が少ないように工夫します。

4. 嚥下反射を利用して服用させる
 粉薬とわずかな水を混ぜてペースト状に練り、保護者が指を使って、子どもの口蓋のできるだけ後ろのほうに塗りつけて(嘔吐反射を起こさない程度の位置)、嚥下反射を利用して服用させる方法です。乳児には効果的な方法だと思います。

 子どもが薬を飲んでくれたら、「えらいね、よく頑張ったね」、「きっと早くよくなるね」などたくさん褒めてくださいねと、保護者に伝えます。
 それとともに、われわれ歯科医師も「お薬が痛みをとってくれるんだよ」など、服薬の必要性を子どもにうまく伝えることや、「お薬を頑張って飲んでくれて、ありがとう! 」、「お薬を飲んでくれたおかげで治ってきたね! 」など、子どもに苦手なことを克服できたと自信をつけさせることも大切です。

岡 暁子
●福岡歯科大学 成育小児歯科学分野

デンタルダイヤモンド 2024年5月号 表紙

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