Dd診断力てすと『可動性を有する顎下腺の腫脹』デンタルダイヤモンド 2019年04月号

中林 基 Motoki NAKABAYASHI
独立行政法人国立病院機構米子医療センター 歯科口腔外科
〒683-0006 鳥取県米子市車尾4-17-1


図❶ 初診時の口腔内写真

図❷ 同、口腔内写真

図❸ 同、MR画像 T1強調像

図❹ 同、MR画像 脂肪抑制T2強調像


患者:69歳、男性
主訴:顎下部の腫脹
既往歴:糖尿病、糖尿病性腎症、高血圧症、慢性腎不全
現病歴:3月中旬より右顎下部の腫脹と熱感を反復したため耳鼻咽喉科を受診。腫脹、皮膚発赤、圧痛などの所見より化膿性顎下腺炎の診断。抗菌薬の投与となる。発赤や圧痛は低下するも、腫脹が残存したため当科に初診となった。
現症:右側顎下腺に50mm大の硬結および可動性を有する腫脹(図❶)を認めた。口腔内所見は右側口底に軽度の腫脹を認めたが、潰瘍形成は認めなかった(図❷)。右側ワルトン管からの唾液の流出および排膿は認めなかった。右側頸部に、7mmの可動性を有するリンパ節を1個触知した。
臨床検査所見:血液検査において白血球数7,300/μL、CRP4.43mg/dLを示した以外に、肝機能・腎機能、血糖値などに異常値を示した。
画像所見:MR画像にて、右側顎下腺部はT1強調像で低信号(図❸)、脂肪抑制T2強調像(図❹)では被膜構造を伴った多房性腫瘤と考えられた。顎下腺周囲は皮下脂肪織混濁を伴い、周囲リンパ節は反応性腫大が複数認められた。

Q 最も疑われる疾患名は?

① IgG4関連ミクリッツ病・シェーグレン症候群
顎下腺唾石症
③ 顎下腺炎

顎下腺がん