Dd診断力てすと『難治性口内炎』デンタルダイヤモンド 2018年7月号

小川 隆 Takashi OGAWA
東京医科大学八王子医療センター 歯科口腔外科
〒193-0998 東京都八王子市館町1163


図❶ 初診時の口腔内写真

図❷ 手背部皮膚に水疱、痂疲形成を伴う紅斑を認めた

図❸ 腹部CT写真。傍大動脈、両副腎から両腸骨周囲にリンパ節腫大を認めた

患者:55歳、女性
主訴:歯肉ならびに下唇部の疼痛
現病歴:初診4ヵ月前より歯肉のただれを自覚。下唇部にも広がり、疼痛が悪化してきたため、当科を受診した。
既往歴:特記事項なし
家族歴:特記事項なし
現症
口腔内所見:下唇、下顎歯肉、舌および両側頬粘膜に紅斑を伴うびらん、潰瘍を認めた(図❶)。
口腔外所見:手背部皮膚に水疱、痂疲形成を伴う紅斑を認めたが(図❷)、陰部潰瘍は認めなかった。
血液検査所見:白血球数 39,700/μL、赤血球数 432×104/μL、CRP 0.68㎎/dL、ELISA法によるBP180抗体陰性、抗デスモグレイン1抗体陰性、抗デスモグレイン3抗体26(20以上陽性)と軽度上昇していた。また、正常ヒト表皮抽出液を用いた免疫プロット法では、患者血清は210kDa(エンボプラキン)、190kDa(ペリプラキン)に反応した。
画像所見:白血球が異常上昇していたためfocus精査目的に全身CTを撮影した結果、傍大動脈、両副腎から両腸骨周囲にリンパ節腫大を認めた(図❸)。
リンパ節生検結果:悪性リンパ腫(非ホジキン病)

Q 最も疑われる疾患名は?

① 類天疱瘡
Stevens-Johnson症候群
③ ベーチェット病

腫瘍随伴性天疱瘡