Dd診断力てすと『下顎前歯部の透過性病変』デンタルダイヤモンド 2021年2月号

谷池直樹 Naoki TANIIKE
向仲佑美香 Yumika MUKAINAKA
神戸市立医療センター中央市民病院 歯科口腔外科
〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町2-1-1


図❶ 初診時の口腔内写真

図❷ 同、パノラマX線写真

図❸ 同、CT画像


患者:67歳、女性
主訴:右側下顎前歯部の透過性病変
既往歴:特記事項なし
現病歴:近医で右側下顎前歯部の透過性病変を指摘され、精査加療依頼にて当科紹介となった。
現症
口腔外所見:顔貌対象、頸部リンパ節に腫大なし。その他、特記所見を認めず。
口腔内所見32歯間の離開を認めた(図❶)。両歯とも電気歯髄診にて反応があり、生活歯であった。周囲歯肉に異常所見はなく、歯牙の動揺や自発痛・打診痛も認めなかった。また、右下唇およびオトガイ部の知覚異常もなかった。
画像所見:パノラマX線写真にて、の歯根離開および同部に根尖付近まで至る骨透過像を認めたが、あきらかな歯根吸収は認めなかった(図❷)。 CT画像にて、32歯根間の歯槽骨内に境界明瞭で類円形の透過像を認め、頬舌的な骨膨隆と頬舌側皮質骨の菲薄化を認めた(図❸)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 咬合性外傷による歯槽骨吸収
歯根嚢胞
③ エナメル上皮腫

中心性歯原性線維腫