Dd診断力てすと『上顎の慢性疼痛』デンタルダイヤモンド 2021年10月号

田中茂男
Shigeo TANAKA
日本大学松戸歯学部 口腔外科学講座
〒271-8587 千葉県松戸市栄町西2-870-1


図❶ 初診時の口腔内写真。上顎右側顎堤および周囲組織にあきらかな炎症所見は観察されない(矢印)

図❷ X線検査画像。パノラマX線(a)およびCT画像(b)において、上顎右側顎骨に異常所見は認めない(矢印)


患者:73歳、女性
主訴:上顎右側顎堤部の疼痛
現病歴:当科初診の約6ヵ月前から上顎右側顎堤(654相当)部の疼痛を自覚するようになり、近在歯科医院を受診した。義歯の調整を継続していたが症状の改善を認めないため、精査目的で当院へ紹介受診となった。の経過は不明であるが、654は約1年前に抜歯が施行されていた。
現症
口腔外所見:顔貌は左右対称で、右側頬部および頸部リンパ節の腫脹は認めなかった。
口腔内所見:上顎右側顎堤粘膜および周囲組織は正常で圧痛もなく、あきらかな炎症所見は観察されなかった(図❶)。
画像所見
パノラマX線およびCT画像:上顎右側顎骨に異常所見は認めなかった(図❷)。
臨床検査所見:白血球数 6,800/μL(好中球:59.5%、好酸球:0.3%、好塩基球:2.9%、探求5.2%、リンパ球32.1%)、CRP 0.10mg/dL。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 慢性顎骨骨髄炎
特発性三叉神経痛
③ 神経障害性疼痛

非定型顔面痛