Dd診断力てすと『びらんを伴う乳白斑』デンタルダイヤモンド 2021年3月号

目瀬 浩 Hiroshi MESE
福山市民病院 歯科口腔外科 〒721-8511 広島県福山市蔵王町5-23-1

図❶ 口蓋垂を中心に軽度のびらんを伴う乳白斑

表(1) 検査データ

WBC57×100/μLTP7.1g/dLHCV抗体(-)
RBC462×1万/μLAlb3.7g/dLHBs抗原(-)
Hb12.8g/dLBUN19.9mg/dLTP抗体(+)
Ht39.7%Cre0.66mg/dLHIV(-)
PLT21.8×1万/μLNa141mEq/LRPR>3,000
AST39.7%4.2mEq/LFTA-ABS(定量)1,280
ALT15 IU/LCl105mEq/L
γ-GTP166 IU/LCRP0.34mg/dL


患者:58歳、男性
初診:20××年4月
主訴:軟口蓋部の違和感
現病歴:20××年2月ごろから軟口蓋部の違和感を自覚し、ときどき含嗽時の出血を認めたため、かかりつけ歯科医院を受診した。口内炎とのことで、ステロイド軟膏と含嗽剤を処方され経過観察されていたものの、症状は改善せず、増悪傾向のため当科を紹介受診した。
既往歴・家族歴:特記事項なし
現症
全身所見:顔貌は左右対称、体幹部四肢に皮疹なし。左側頸部リンパ節は若干腫脹しているものの、有意な腫脹ではなかった。
口腔内所見:口蓋垂を中心に、両側軟口蓋に軽度のびらんを伴う乳白斑を認めた(図❶)。
検査所見:軽度の肝機能異常と、CRP値の上昇を認めた。HCV抗体(–)、HBs抗原(–)、TP抗体(+)、HIV(–)であった(表1)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 口腔扁平苔癬
多形滲出性紅斑
③ 後天性免疫不全症候群(AIDS)

梅毒(第2期)