Dd診断力てすと『舌痛を伴う嚥下困難』デンタルダイヤモンド 2019年05月号

上野繭美 Mayumi UENO
里村一人 Kazuhito SATOMURA
鶴見大学歯学部 口腔内科学講座
〒230-8501 神奈川県横浜市鶴見区鶴見2-1-3


図❶ 眼瞼結膜に蒼白感がみられる

図❸ 両側の口角びらん

図❷ 示指の爪の変形

図❹ 軽度の溝舌を伴う舌乳頭の萎縮


患者:73歳、女性
主訴:舌に痛みを感じ、飲み込みにくい
既往歴:既往歴
現病歴:約6ヵ月前から、舌痛、味覚低下、嚥下困難感および口腔乾燥感を自覚している。また、食欲低下により最近3ヵ月間で約3㎏体重が減少しており、易疲労感と全身倦怠感、便通不良および黒色便がみられるという。
現症:顔色および眼瞼結膜(図❶)はやや蒼白で、手指(図❷)の爪の変形が認められる。また、両側口角の軽度びらん(図❸)と、接触痛を伴う舌乳頭の萎縮(図❹)がみられる。
臨床検査所見:RBC;348×104/μL→、Hb;5.1g/dL↓、HCT;21.2%↓、MCV;60.9fL↓、MCH;14.7pg↓、MCHC;24.1 g/dL↓、Plt;58.4×104/μL↑、TP;6.5g/dL→、Alb;3.4g/dL↓、Fe;7μg/dL↓、フェリチン;1.4ng/mL↓、Zn;75μg/dL↓、RF;陰性、抗核抗体;陰性、抗SS-A/Ro抗体;陰性、安静時唾液分泌量;0.7mL/15分↓、刺激時唾液分泌量(ガムテスト);7mL/10分↓。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 舌痛症
Hunter舌炎
③ Sjögren症候群

Plummer-Vinson症候群