Dd診断力てすと『頬部の腫脹』デンタルダイヤモンド 2020年3月号

窪田泰孝 Yasutaka KUBOTA
国家公務員共済組合連合会 佐世保共済病院 歯科口腔外科
〒587-8575 長崎県佐世保市島地町10-17

図❶ 初診時の顔貌写真

図❷ 同、口腔内写真

図❸ 同、CT画像



患者:72歳、男性
主訴:左側頬部の腫脹
現病歴: 約2週間前、左側頬部の腫脹と疼痛のため、近歯科を受診。抗菌薬を処方され、頬部の痛みは改善したが腫脹の改善がみられなかったため、精査加療を目的に当科を紹介された。
既往歴:高血圧症
全身所見:体温 36.5℃、栄養状態良好、倦怠感なし、飲酒歴なし。
口腔外所見:左側頬部に圧痛を伴うび漫性腫脹を認めた(図❶)。開口障害は認められなかった。
口腔内所見:左側耳下腺乳頭部に、圧痛を伴う比較的境界明瞭な弾性硬の腫瘤を触知し、頬部圧迫によりステノン管開口部から排膿を認めた(図❷)。左側上下顎臼歯部歯肉には発赤、腫脹は認められなかった。
血液検査:赤血球数 458.0×104/μL、白血球数 71.7×102/μL、 血小板数 20.3×104/μL、ヘモグロビン 14.7g/dL、総蛋白 6.70g/dL、アルブミン 1.58g/dL、アミラーゼ 868U/L(H)、AST 23U/L、ALT 14U/L、CRP1.17mg/dL(H)。※(H):高値
CT所見:7⃣歯根周囲歯槽骨の水平的骨吸収と、7⃣口蓋根周囲歯槽骨の垂直的骨吸収を認めた。 また、左側耳下腺は腫大し、lu7頬側軟組織内に境界明瞭なX線不透過像を認めた(図❸)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 頬部膿瘍
咬筋内血管腫
③ 唾液腺症

唾石症