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刊行にあたって
このたび、デンタルダイヤモンド増刊号『これから習得したい! 歯科臨床の最新テクニック21選』を無事に刊行できた。企画から刊行までたいへん短い期間であったにもかかわらず、遅れることなく無事形にできたのは、関係者諸氏のご尽力の賜物であり、感謝を申し上げたい。
本書は卒後10年前後の歯科医師を対象に、歯科臨床の技術向上に役立つ内容を網羅した。日常臨床では、補綴や外科、エンド、ペリオといった臨床技術をバランスよく習得し、さらに向上させることが欠かせない。言い換えれば、歯科医師は卒後10年ごろまでを目標に、それぞれの知識と技術を習得することが求められているのである。
そこで本書の執筆者は、臨床の第一線で活躍している、40代前後で新進気鋭の歯科医師を中心に選定した。また、ラボサイドからも最新の知見を得るべく、2名の歯科技工士にも執筆いただいた。いずれも歯科医療人となってからの10年間を知識と技術の習得に費やし、なみなみならぬ努力を重ね、質の高い歯科臨床を日々実践している方々である。これからの10年も、ますますの活躍が期待されるのは間違いない。
歯科医師としての人生を10年単位で考えたとき、卒後最初の10年間をどのように過ごすかで、その10年後、30代中盤ごろに迎える未来が決まる。この期間の重要性は、先人たちの伝えるとおりである。それからさらに10年、40代中盤ごろにかけての過ごし方で、歯科医師としての臨床スタイルの大部分が確立されるだろう。
われわれの多くは、生涯を歯科医師として過ごす。その日々を楽しく充実させるためには、時として努力が必要であり、その時期を誤ると、軌道修正が利かなくなる現実があるかもしれない。
もし、努力を重ねることで費やす時間について、非効率と考える読者諸氏がいるのなら、「効率」という単語を少し違う側面から考えてみてはいかがだろうか。仕事における効率は、「仕事の結果÷費やした時間=仕事の効率」の数式で表せる。一般的に効率を高めるためには、「費やした時間」を低くして、「仕事の効率」を高めると考えられがちである。
ここで、もう少し大きな視点で考えてみよう。人はそれぞれ1日24時間、1年365日で、同じ時間を過ごす。それを踏まえて前述した「仕事の効率」の数式を考えてみる。1年、3年、5年という単位で歳月を振り返ったとき、時間は「定数」であり、「結果」が変数となる。したがって、「仕事の結果」が高いほど、「仕事の効率」も高まり、効率的に仕事をしていることがわかる。
本書の執筆者は、皆それぞれ努力の時間を過ごし、仕事の結果を高めることで目標を達成してきた方々だ。いずれも卒後10年を基礎の充実に費やし、それをベースに次の10年で活躍し、これからの10年に向け、新たなるステージを目指している。そんな彼らの多分野にわたる臨床テクニックを惜しげもなく公開していただいた本書は、まさに若い先生方にとって必携の1冊になるであろう。
努力家である錚々たる執筆者たちが綴った本書の編集委員を務め、無事刊行できたことをうれしく思う。
2024 年6月
東京ステーション歯科クリニック
小川洋一
CONTENTS
黒岩昭弘(くろいわ あきひろ)
1987年 松本歯科大学歯学部 卒業
1987年 松本歯科大学歯科補綴学第一講座 助手
2000年 松本歯科大学歯科補綴学第一講座 助教授
2003年 松本歯科大学歯科補綴学第一講座、顎口腔機能制御学講座 教授
2010年 松本歯科大学歯科補綴学講座 教授
2015年 明海大学 客員教授
2016年 松本歯科大学歯科理工学講座 教授
2017年 松本歯科大学硬組織疾患制御再建学講座 教授
2018年 松本歯科大学歯科補綴学講座 主任教授
2020年 日本顎咬合学会 理事長(~2023年まで)
現在に至る
≪所属学会≫
日本デジタル歯科学会、日本歯科保存学会、歯科チタン学会、日本歯科医療管理学会、松本歯科大学学会、日本顎咬合学会、日本顎関節学会、日本口腔インプラント学会、日本補綴歯科学会、日本歯科理工学会
小川洋一(おがわ よういち)
1990年 明海大学歯学部 卒業
1990年 河津歯科医院 勤務
1997年 東京都中央区・月島にて小川歯科医院開業
2010年 東京都中央区・東京駅八重洲駅前に移転。医院名を東京ステーション歯科クリニックへ変更
2014年 松本歯科大学 臨床教授
2021年 明海大学歯学部 客員准教授
2023年 医院規模拡大に伴い、東京駅中央口からすぐの場所に移転
2024年 明海大学歯学部 臨床教授
現在に至る
≪所属学会≫
日本顎咬合学会 指導医、OJ(Osseointegration Study Club of Japan)常任理事、日本審美歯科協会、日本歯内療法学会、アメリカ歯周病学会、ヨーロッパインプラント学会、国際口腔インプラント学会認定医
本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行にあたって」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行にあたって」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『これから習得したい! 歯科臨床の最新テクニック21選』です。