Q&A その他 広告可能な「歯科医師の専門性資格」とは?|デンタルダイヤモンド 2025年2月号

Q&A その他 広告可能な「歯科医師の専門性資格」とは?|デンタルダイヤモンド 2025年2月号

学術・経営・税務・法律など歯科医院での治療・経営に役立つQ&Aをご紹介いたします。今回は、月刊 デンタルダイヤモンド 2025年2月号より「広告可能な「歯科医師の専門性資格」とは?」についてです。

最近、医療広告ガイドラインの改正があり、広告可能な専門資格が追加されたと聞きました。医療広告ガイドラインの「広告」には、どのようなものが含まれますか。また、広告表示できる歯科の専門資格を教えてください。 東京都・A歯科

1.「矯正歯科」と「歯科保存」が広告表示可能に
 2024年9月に医療広告ガイドラインの改正が行われ、広告可能な「歯科医師の専門性資格」として、従来の「口腔外科」「歯周病」「歯科麻酔」「小児歯科」「歯科放射線」「補綴歯科」に加えて、新たに「矯正歯科」と「歯科保存」についても、一般社団法人日本歯科専門医機構が認定した場合に広告表示が認められるようになりました。
2.医療広告ガイドラインによる広告の要件
 「広告」とは、医療法では「医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」と定義されています。
 医療広告ガイドラインでは、医療法における「広告」と認められるためには、①「誘引性」(患者の受診等を誘引する意図があること)、②「特定性」(医療提供者の名称などが特定できること)の2つの要件が必要であるとされています。
 たとえば、駅の看板やチラシ、ポスター、バス広告、新聞広告、テレビやラジオのCMなどはもちろん「広告」にあたります。
 一方、院内表示や院内で配布するパンフレット、医療機関のスタッフ募集に関する求人広告などは、①「誘引性」を満たさず、医療広告にはあたりません。
 なお、2017年以前の医療広告ガイドラインでは、①「誘引性」、②「特定性」に加えて、③「認知性」(一般人が認知できる状態にあること)も、広告の要件とされていましたが、医療機関のホームページも「広告」に含めて規制するために③「認知性」の要件は削除されることになりました。ホームページについては「限定解除」などの複雑な規制がありますので、ここでは、ホームページ以外の「広告」について説明します。
 「広告」にあたると、医療法およびガイドラインによる広告規制を受けますが、この規制はとても厳しく、医療法で認められた項目(医療機関・医師名、診療科名、提供される医療の内容など)のみ広告表示できます。
3.広告で表示できる「医療従事者の専門資格」
 広告で表示できる「医療従事者の専門資格」についても、医療広告ガイドラインにおいて定められています。
 歯科に関しては、一般社団法人日本歯科専門医機構が認定した専門資格のみ表示することができ、これまで専門医機構は「口腔外科」「歯周病」「歯科麻酔」「小児歯科」「歯科放射線」「補綴歯科」の6領域の認定を行っていました。さらに、2024年9月から「、矯正歯科」と「歯科保存」についても、専門医の認定要件について関係学会間での協議がまとまり、新たに専門資格として広告表示が可能になりました。
 認定審査は、「矯正歯科」であれば公益社団法人日本矯正歯科学会内の専門医委員会において審査、合否判定を行い、同学会の承認後、一般社団法人日本歯科専門医機構において審査・認定が行われることになります。
 また、「歯科保存」においても、特定非営利活動法人日本歯科保存学会と一般社団法人日本歯内療法学会合同運営の歯科専門医認定委員会において審査後、審査結果について両学会理事の承認を経た後、歯科専門医機構における審査・認定手続が行われます。
 現在、広告可能な専門資格について協議が行われているものとして、前述以外に「インプラント歯科」「総合歯科」がありますが、今回の改正には含まれませんでした。
 なお、専門資格を広告で表示する場合には、必ず認定団体および専門資格名を記載することが必要です。たとえば、日本口腔外科学会から口腔外科専門医として認定された歯科医師であっても、「口腔外科専門医」とだけ表示するとガイドライン違反となってしまいます。「日本口腔外科学会認定 口腔外科専門医」というかたちで、認定学会の名称を資格名とともに示す必要がありますのでご注意ください。

下元高文
●弁護士法人ニューステージ


デンタルダイヤモンド 2025年2月号 表紙

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