Column 顎関節症と顎機能障害の違い|舌骨から紐解く顎機能の謎 丸茂義二のファイナルアンサー

Column|舌骨から紐解く顎機能の謎 丸茂義二のファイナルアンサー

デンタルダイヤモンド社のベストセラー書籍『舌骨から紐解く顎機能の謎 丸茂義二のファイナルアンサー』のColumnの一つを特別公開!
「顎関節症と顎機能障害の違い」についてです。

顎関節症と顎機能障害の違い

◉顎関節症の三大徴候
 顎関節症の三大徴候とは下記の症状であり、これらを主訴として来院した患者を顎関節症患者としている。
1.開口障害
2.開閉口時運動痛
3.顎関節雑音
 顎関節症になる前は、何の症状もない、ある意味で正常な状態だったのである。ある日起きたら口が開かなくなった、あるいはあくびをしたら「痛い」のである。症状の出る前は、何も不便を感じないであくびをしたり、カラオケを歌っていても、症状が出ると機能障害を来し、開口量が減ってしまう。発症前の状態に戻りたいと思うのは当然である。
 顎関節症患者の基本的な分析では、身体機能と顎の負担の両者を比較することで、なぜ発症したかがわかる。毎日の歩行量の減少、あるいは体力や筋力が低下しているにもかかわらず、顎の負担が増えるような食生活をしていたりすると、発症の原因となる。身体の活動量と顎関節症は深い関係がある。
 問題は、体力は年単位で低下していくので、なかなか患者自身は気がつかない点にある。たとえば、中学生のときに運動部に入っていたが、高校生になって部活に所属せず、徐々に体力が低下し、高校2年の夏を過ぎたころに発症するというパターンが多い。すなわち、体力の低下には1年以上の時間がかかるのである。
 姿勢の悪化についても判定することができる。毎日ゴロゴロと寝たきり生活していると、姿勢が悪くなって骨格が崩れてくる。まさに、“顎関節症姿勢”の始まりである。この不良姿勢を放置すると、顎関節や関節円板が変形し、元に戻らなくなってしまう。
 一度は正常な働きをしていたのに、生活の質の低下に伴って顎機能も低下し、ついに限界となって顎機能障害が出て、口が開かなくなるという図式である。
◉小児の顎機能障害
 ところが最近は、小学生やもっと小さい子が正しく口を開けなくなっている。親に聞いてみると、最初から大きい口が開かない、開けるときは曲がって開くなどの機能障害がみつかる。
 最近の小児に多いハイアングルは、正常な解剖学的形態に育っていない。こうした小児は、一度も正常な顎になったことがないため、正常に発達する前に、顎機能障害のまま成長しているのである。一度も正常になったことのない小児の顎機能障害は、顎関節症とは呼ばないのである。
 かわいそうな顎機能障害の小児が増えている。嚙む力は身体が作られたうえで、永久歯列で育てるものなのに、乳歯列で硬いものを食べさせられたり、引きちぎる動作を強いられることによって、小児の首が危機に瀕している。

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