Dd診断力てすと『舌の有茎性病変』デンタルダイヤモンド 2018年8月号

山﨑浩史 Hiroshi YAMAZAKI
小嶋玲奈 Rena KOJIMA
東海大学医学部付属大磯病院 歯科口腔外科
〒259-0198 神奈川県中郡大磯町月京21-1


図❶ 初診時の口腔内写真

図❷ 蛍光観察。病変部が暗色を呈している

図❸ 初診時のMRI画像(脂肪抑制法併用 T2強調画像)


患者:74歳、女性
初診:左側舌のできもの
現病歴:初診1週間前より左側舌縁部に腫瘤を自覚し、近医歯科を受診した。左側舌縁部に有茎性の腫瘤を認めたため、精査・加療を目的に、当科を紹介受診となった。
既往歴:高血圧症、糖尿病、不眠症
家族歴:特記事項なし
現症:体格中等度、栄養状態は良好。口腔清掃状態は良好で、義歯の適合も問題なかったが、義歯の着脱時に舌を傷つけることがあった。左側舌縁部に11㎜大の境界が不明瞭な、弾性軟の表面が粗造な腫瘤性病変を認めた(図❶)。頸部リンパ節は触知しなかった。
臨床検査所見:血液検査においてHbA1c 6.5%と高値を示した以外、 特記すべき所見なし。
口腔内蛍光観察所見:VEL scopeを用いた観察では、病変は暗色を呈していた(図❷)。
頸部超音波検査所見:病的リンパ節のあきらかな腫脹は認めなかった。
画像所見:MRI検査では、左側舌縁部に17㎜×9㎜大の境界が不明瞭な病変を認めた(図❸)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 咬傷
膿原性肉芽腫
③ 乳頭腫

④ 舌がん(紡錘細胞がん)