2021年12月号 「顎骨に発生した透過性病変」
川口 泰 Yasushi KAWAGUCHI
市立釧路総合病院 歯科口腔外科 〒085-0822 北海道釧路市春湖台1-12
図1 初診時のパノラマX線写真。病変内には埋伏歯を、下縁部には骨膜反応を認めた(矢印)
図2 初診時のCT画像
患者: | 17歳、男性 |
主訴: | 右下顎歯肉の腫脹、疼痛 |
既往歴・家族歴: | 特記事項なし |
現症: | 体格は中等度、栄養状態は良好。 |
口腔外所見; | 右側下顎部に軽度腫脹を認めたが、開口障害は認めなかった。オトガイ皮膚に知覚異常は認めず、所属リンパ節にも異常所見は認めなかった。 |
口腔内所見; | 遠心歯肉に軽度腫脹と圧痛を認めた。に打診痛や動揺は認めず、歯髄電気診にて生活反応を認めた。舌に知覚異常は認めなかった。 |
画像所見: | パノラマX線写真にて、右下顎骨体部から下顎枝にかけて透過性病変が認められ、病変内には埋伏歯を、下縁部には骨膜反応を認めた(図1)。またCTにて、から下顎枝にかけて骨膨隆性変化を示す病変を認めた。さらに、病変と接する舌側皮質骨に骨欠損を認めた(図2a)。病変により、下歯槽神経血管束は下方へ圧排偏位していた(図2b)。根尖部はわずかに吸収を疑う像を認めたが、あきらかではなかった。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.歯原性角化嚢胞 | |
2.歯根嚢胞 | |
3.含歯性嚢胞 | |
4.エナメル上皮腫 |