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2021年11月号 「転倒による外傷」
4.下顎骨骨折

 下顎骨は顔面において下前方に位置し、最も外力が作用しやすい部位である。また、骨格において唯一、左右の関節が一つの骨に存在しているという特徴から、受傷部位の直達骨折の他、応力の伝播・集中により、受傷部位から離れた力学的に弱い部位で間接的に生じる介達骨折を認めることが多い。
 今回はあえて選択肢に骨折部位の記載をしなかったが、下顎正中部・前歯部の単独骨折であれば、左右の開閉口筋の牽引力が左右対称であるので、大きな偏位は生じない。
 しかし、骨折線が複数の場合は、骨折線の発生部位によって、いろいろな骨片偏位が起こる(図2、3)。
 本症例において、右下顎部は閉口筋優位となり内上方に、左下顎部の小骨片は下顎角部を含むが、顎舌骨筋をはじめとする開口筋が優位となって、図1のような写真となった。前歯部がまるで一本脱臼・欠損しているかのように見える、個人的には興味深い症例であった。

図1 下顎正中部に骨折を認める
図1 下顎正中部に骨折を認める
図2 左下顎枝部にも骨折を認める
図2 左下顎枝部にも骨折を認める



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