2021年03月号 「抜歯後の治癒不全」
里見貴史 Takafumi SATOMI
日本歯科大学生命歯学部 口腔外科学講座
〒102-8159 東京都千代田区富士見1-9-20
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図1 初診時の口腔内写真
図2 抜歯前のデンタルＸ線写真
図3 初診時のパノラマＸ線写真とCT画像。
抜歯窩の唇側皮質骨を膨隆（菲薄化、一部消失）させる病変を認める（矢印）
図4 生検組織の病理組織写真 H-E染色
（ａ：弱拡大 ×40、ｂ：強拡大 ×100）
| 患者： | 81歳、男性 |
| 主訴： | 抜歯後の治癒不全 |
| 現病歴： | 2019年10月末に、かかりつけ歯科医院にて、重度辺縁性歯周炎に対して抜歯術が施行された。その後、抜歯窩の治癒不全が遷延したため、精査・加療目的で当科を紹介され、受診した。 |
| 既往歴： | 糖尿病、アトピー性皮膚炎 |
| 現症： | |
| 全身所見； | 体格中等度、栄養状態良好。 |
| 口腔内所見； | 抜歯後の唇側歯肉に、３mm大の発赤、腫脹を伴う肉芽様の隆起性病変が認められたが、無痛性であった（図１）。 |
| 血液検査所見； | 血糖値以外、異常なし。 |
| 画像所見； | かかりつけ歯科医院から取り寄せた抜歯前のデンタルＸ線写真では、歯根の根尖周囲はやや境界不明瞭であるが、全体的には境界明瞭なＸ線透過像が認められた（図２）。初診時に撮影されたパノラマＸ線写真では、左側下顎骨に境界明瞭な多房性Ｘ線透過像が認められ、CT画像では、抜歯窩の唇側皮質骨を膨隆（菲薄化、一部消失）させる病変が認められた（図３）。 |
| 経過； | 初診後７日目に局所麻酔下で同部の組織生検を施行した（図４）。 |
| Ｑ | 最も疑われる疾患名は？ |
| １．残留嚢胞 | |
| ２．エナメル上皮腫 | |
| ３．歯原性角化嚢胞 | |
| ４．抜歯窩治癒不全 |
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