2020年10月号 「口蓋部の異常所見」
小村 健 Ken OMURA
総合東京病院 歯科口腔外科 〒165-8906 東京都中野区江古田3-15-2
図1 初診時の口腔内写真
患者: | 70歳、男性 |
主訴: | 口蓋部の違和感 |
既往歴: | 特記事項なし |
現病歴: | 初診4ヵ月前に右側上頸部に違和感を自覚し、近在の内科を受診した。このとき、食道科の受診を勧められたが、受診せず放置していた。初診1ヵ月前から右側口蓋部にざらざら感を含む違和感を自覚したため、かかりつけ歯科を受診した。歯科では右側上顎歯肉部から口蓋部に異常所見を認めたため、当科を紹介され受診した。 |
現症: | 体格は中等度、栄養状態は良好。初診時、右側上顎歯肉部から口蓋部に長径3.4cm大、びらん・潰瘍を形成する表在性病変を認めた。歯肉側の病変の一部は黒色の色素沈着を伴っていた。また、病変周囲には所々に灰色の色素沈着斑を認めた(図1)。 なお、右側頸部にはリンパ節腫大を認めたが、その他の全身には異常所見を認めなかった。 |
臨床検査所見: | 血液検査において、総蛋白 7.4g/dL、AST 24U/L、ALT 26U/L、LDH 270U/L、ALP 371U/L、CRP 1.60mg/dL、白血球数 6,300/μL、血色素量 15.6g/dLであった。また、SCC抗原 0.8ng/mL、CEA 1.1ng/mLであった。 |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.口腔粘膜熱傷 | |
2.帯状疱疹 | |
3.扁平上皮がん | |
4.悪性黒色腫 |