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2019年11月号 「耳下部の腫脹と排膿」
池田哲也 Tetsuya IKEDA
杏林大学医学部付属病院 顎口腔外科 〒181-8611 東京都三鷹市新川6-20-2
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図1 当科初診時、耳下部からの排膿と腫脹を認めた
図1 当科初診時、耳下部からの排膿と腫脹を認めた
図2 初診時の口腔内所見。左下顎枝相当粘膜に軽度の腫脹を認めるが、排膿は認めず
図2 初診時の口腔内所見。左下顎枝相当粘膜に軽度の腫脹を認めるが、排膿は認めず
図3 初診時のパノラマX線写真。左下顎枝に智歯の埋伏と周囲の骨吸収を認める
図3 初診時のパノラマX線写真。左下顎枝に智歯の埋伏と周囲の骨吸収を認める

図4 初診時の造影CT所見。腫脹した左耳下腺(白矢印)と左咬筋(黄矢印)を認める。また、埋伏歯(*)が左下顎枝にみられた


図4 初診時の造影CT所見。腫脹した左耳下腺(白矢印)と左咬筋(黄矢印)を認める。また、埋伏歯(*)が左下顎枝にみられた

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患者: 70歳、男性
主訴: 左耳前部から耳下部の疼痛、腫脹および開口障害
既往歴: 糖尿病(血糖降下薬服用)
現病歴: 1年ほど前から、左耳前部あたりの違和感と開口時の同部位の疼痛を自覚していたが放置していた。その後、左耳下部皮膚から排膿を認め、腫脹が増大したため近医耳鼻咽喉科を受診、耳下腺腫瘍の疑いで当院耳鼻咽喉科を紹介され受診した。
 耳下腺腫瘍の疑いで、耳鼻咽喉科医により局所麻酔下に排膿部位から3度組織生検を行った。しかし、いずれの結果も炎症性細胞浸潤を伴う肉芽組織で、異型細胞や腫瘍細胞は認められなかった。その後、当科に診察の依頼があった。
現症:
口腔外所見; 左耳下部より排膿および同部位の腫脹を認めた(図1)。また、左耳前部の疼痛のため、開口量は1.5横指であった。
口腔内所見; 左下顎枝相当の粘膜に軽度の腫脹がみられたが、排膿などあきらかな感染所見は認められなかった(図2)。
画像所見; パノラマX線写真では、左下顎枝に智歯の埋伏と周囲の骨吸収を認めた(図3)。また、造影CTでは腫大した耳下腺と咬筋を認め、左埋伏智歯もみられた(図4)。また、下顎頭部、頬骨、側頭骨の骨吸収はあきらかではなかった。
最も疑われる疾患名は?
1.丹毒
2.耳下腺がん
3.外歯瘻
4.顎放線菌症
ANSWER
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