2019年1月号 「多発する口内炎」
山口孝二郎 1) Kojiro YAMAGUCHI 太田剛史 2) Takafumi OTA
1) 鹿児島県・医療法人ハヤの会 田中矯正歯科
歯科慢性疾患診療室
2) 鹿児島県・太田歯科クリニック
歯科慢性疾患診療室
2) 鹿児島県・太田歯科クリニック
図1初診時口腔内写真。舌乳頭の萎縮、
発赤、一部びらん、溝状舌を認める
患者: | 69歳、女性 |
主訴: | 難治性口内炎の精査加療 |
現病歴: | X−1年ごろよりむし歯になりやすく、口腔乾燥症状を認めるようになり、口内炎が多発するため、近医で時々軟膏の塗布を受けていた。X年6月、多発性口内炎でO歯科医院を受診し、カンジダ培養検査が陽性であったため、抗真菌薬の投与を受けるも口内炎は消失せず、疼痛が増悪、味覚異常も感じるようになった。そのため、精査加療の目的で、同年7月、O歯科医院慢性疾患外来での診察となった。 |
既往歴: | 60歳時、胃がんにて胃全摘手術を受けた。アレルギーなし。 |
現症: | 身長159p、体重47sでやや痩せ型。所属リンパ節腫大なし。舌乳頭萎縮(平滑舌)、溝状舌、一部口内炎様のびらんを呈する(図1)。 |
臨床検査: | サクソンテスト2.8g/2分(正常)、カンジダ培養再検査(−)であった。 |
血液検査: | かかりつけ内科に依頼して血液検査を施行した結果、以下の結果が得られた。 赤血球数 181×104/μL、Hb 8.4g/dL、Ht 24.1%、MCV 133fL、血清鉄 125μg/dL、フェリチン定量 23.5ng/mL、LDH 360μ/L、血清ビタミンB12 92pg/mL、葉酸17.1ng/mL |
Q | 最も疑われる疾患名は? |
1.Hunter舌炎 | |
2.口腔扁平苔癬 | |
3.ベーチェット病 | |
4.Plummer-Vinson症候群 |