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2018年3月号 「再発を繰り返す口内炎」
4.クローン病

経過:治癒と再発を繰り返す口内炎と発熱が1年間も続いていたことから、ベーチェット病や自己免疫疾患などの全身症状に伴う口腔内症状が疑われた。眼、消化器、皮膚症状がなく、ウイルス抗体価や抗核抗体も陰性であったことからベーチェット病やウイルス感染は否定的であり、その他の全身疾患に伴う口内炎の可能性から、内科へ対診となった。炎症性腸疾患の疑いで、腹部CTによる精査が行われたが特記すべき所見は認められず、もともと偏食で、鉄欠乏性貧血もあったことから、栄養指導と鉄剤投与で経過観察となった。3ヵ月後に、右下腹部痛と軟便、体重減少を認めたことから内視鏡検査を行ったところ、小腸および大腸粘膜に多発する潰瘍やびらんを認め(図2)、生検の結果、クローン病と診断された。
●クローン病(Crohn病)
 クローン病は、口腔から肛門のあらゆる消化管に生じる原因不明の炎症性腸疾患で、とくに小腸と大腸が好発部位とされている。10〜20代の若年者に好発し、男女比は約2:1と男性に多くみられる。腹痛や下痢などの消化管症状を主症状とし、下血や体重減少、全身倦怠感、貧血などを伴うものもある。また、約20%にアフタ性口内炎や口腔内潰瘍が生じるとされる。
 クローン病の治療としては、内科的治療(栄養療法や薬物療法など)と外科的治療があり、内科的治療では、主に5-アミノサリチル酸製薬や副腎皮質ステロイド、免疫調節薬などの内服薬が用いられる。本症例も、5-アミノサリチル酸であるメサラジンと副腎皮質ステロイドであるブデソニドの内服による内科的治療で症状が改善した。口内炎や口腔粘膜潰瘍を来す疾患には、慢性再発性アフタ、ヘルペス性口内炎、ヘルパンギーナや全身性疾患の一症状としてのベーチェット病、全身性エリテマトーデス、ライター症候群などがある。繰り返し生じる口内炎や口腔内潰瘍は、全身疾患に伴う症状の可能性を念頭に入れた原因検索が必要である。

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図3 摘出した腫瘤と黄白色の割面
図3 内視鏡写真。大腸に縦走潰瘍を認める




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