Dd診断力てすと『唇のできもの』デンタルダイヤモンド 2020年2月号

4.静脈湖

概要

静脈湖(Venous Lake)は、高齢者の口唇にできる青紫色のできものである。医学的には血管腫の一種であり、良性の腫瘤とされる。
 静脈湖は、血管腫に属する疾患である。血管腫は、何らかの原因によって血管が異常に増殖した状態であり、おもに口唇に認められることが多く、口唇でも下の口唇に生じやすい傾向がある。静脈湖の原因としては、皮膚の老化、紫外線による刺激、機械的刺激などが原因になると考えられている。静脈湖の症状としては、とくに高齢者に生じやすく、口唇に数mm~1cmほどの血豆のような青紫色のできものができる。
 静脈湖の治療法としては、良性であるため、本人が気にならないようであれば治療せずに放置しても問題はない。除去方法としては、レーザー治療や電気メスによる除去が行われている。
 口腔内の色素沈着は、日常診療のなかでよくみられるため、原因の確認、確定診断、対処方法、定期的な観察が必要である。

治療法と経過

局所麻酔下において、静脈湖の切除(図2)と、病理組織検査を行った(図3)。術後2週間で治癒した(図4)。

図2 切除した組織

図3 病理画像。異型性のない重曹扁平上皮で覆われた粘膜上皮下に拡張性の静脈が認められ、静脈湖としての所見を示した

図4 切除後、治癒した口唇部

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