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刊行にあたって
歯科疾患実態調査の結果が示すように、超高齢社会を迎えたわが国において、全部床義歯、部分床義歯を必要とする患者はいまだ減少していないことは明白である。さらに、義歯装着者において治療難易度が増していると感じる読者も多いことと推測する。義歯の難症例への対応方法はあるものの、一方では限界があることも事実である。
そのような場合、必要最小限のインプラントを用いたインプラントオーバーデンチャー(IOD)、インプラント部分床義歯(IARPD)が有効である。すでに多くの成書においてその有効性は示されているものの、術前診査から経過観察に至るまでの基本的な考え方や手技について、IOD、IARPDの両方を網羅している成書は非常に少ない。
このような背景から、2019年に「インプラントオーバーデンチャーファーストステップ」を、2021年に「IARPDファーストステップ」を月刊デンタルダイヤモンドで連載した。連載中は読者の皆様よりうれしいお言葉を多数いただき感謝している。連載当時は、代表的な下顎IOD、IARPD症例をターゲットに解説したが、現在はIOD、IARPDを上顎に適用している読者も多いであろう。また、あれから数年が経過して、IOD、IARPDとともに臨床術式の変化も少なからず生じていると感じている。
そこで、このたび連載の内容に、①上顎IOD、IARPD、②超高齢社会に向けたインプラント治療のあり方、③デジタルソリューションを活用したインプラント義歯、という3つの新項目を加え、発刊させていただく運びとなった。読者諸兄の臨床においていま一度、義歯の難症例におけるIOD、IARPDの適応を検討していただければ幸いである。
兒玉直紀
CONTENTS
兒玉 直紀(こだま なおき)
2002年 岡山大学歯学部歯学科卒業
2008年 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科修了・歯学博士
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 咬合・有床義歯補綴学分野 助教
2014年 モントリオール大学歯学部 客員教授
2015年 岡山大学病院 咬合・義歯補綴科 助教
2020年 岡山大学病院 咬合・義歯補綴科 講師
2021年 岡山大学病院 歯科(補綴歯科部門) 講師
日本補綴歯科学会専門医・指導医
関連分野におけるおもな著書・論文
- Kodama N, Singh BP, Cerutti-Kopplin D, Feine J, Emami E. : Efcacy of Mandibular 2-implant Overdenture: An Updated Meta-analysis on Patient-based Outcomes. JDR Clin Trans Res, 1(1): 20-30,2016.
- 兒玉直紀:オーバーデンチャーによる機能回復 インプラントオーバーデンチャーの有効性-全部床義歯との比較-.日本補綴歯科学会誌,9(4):304-310,2017.
- 兒玉直紀:Dd補綴設計セミナー 欠損歯列における咬合再構成 タイプに応じた補綴歯科治療戦略.DENTAL DIAMOND,45(16):41-55,2020.
- 松田謙一,荻野洋一郎,兒玉直紀,和田淳一郎:歯界展望別冊 はじめての部分床義歯.医歯薬出版,東京,2021.
- 兒玉直紀,吉實 舞,藤澤綾香,丸尾幸憲:特集 高齢社会における義歯臨床で知っておきたい義歯のリラインインプラントオーバーデンチャーとインプラント部分床義歯のリライン─どんな時に必要? どのように行う? 日本歯科評論,84(2):55-63,2024.
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新町 愛子(しんまち あいこ)
2005年 新大阪歯科技工士専門学校卒業
和田精密歯研株式会社 本社 インプラントセンター勤務
2013年 医療法人かい歯科 院内歯科技工士
2018年 和田精密歯研株式会社 本社 CAD部門勤務
2021年 新大阪歯科技工士専門学校 非常勤講師
和田精密歯研株式会社 スーパーテクニシャン認定 インプラント分野
2023年 株式会社パーソナルシステム S.B.Labo勤務
日本口腔インプラント学会認定専門歯科技工士
本のエッセンスは、書籍の「はじめに」や「刊行にあたって」に詰まっています。
この連載では、編集委員や著者が伝えたいことを端的にお届けするべく、おすすめ本の「はじめに」や「刊行にあたって」、「もくじ」をご紹介します。
今回は、『IOD・IARPD臨床実践ガイド』です。