歯科医師が病気を見つけるとき 16|デンタルダイヤモンド 2000年4月号

●東海大学医学部口腔外科学教室 佐々木次郎 + ●神奈川県・開業 大塚哲也

慢性肝炎

抜歯

紹介状(図❶)の慢性C型肝炎の患者さんの抜歯症例である。

11月15日に来院されて、佐々木先生が初診を担当。患者さんが持参した検査値と問診から、入院しないで抜歯できるかどうかを、11月17日に大塚が再診した。検査値は表1に示すとおりである。佐々木先生に相談したところ、「C型肝炎でTTTが高いのですが、血小板数が正常だし、食道静脈瘤はないようですから、外来でも可能でしょう」との返事で、大塚の担当する外来手術室を予約した。

表1

検査項目単位結果
WBC×103/μl6.3
RBC×106/μl4.45
HGBg/dl13.5
HCT40.2
血小板数×104/μl22.9
部分トロンボプラスチン時間48.5
AST(GOT)72
ALT(GPT)114
TTTSHU20
ZTTKU17
NBs抗原 定性0.0-
HCV(EIA)cut off index50.00+

◆◆◆ 東海大学病院の外来手術室 ◆◆◆

外来手術室は病院の1階にあり、各科で使用する。私は毎週水曜日にここで働いている。はじめの5年間は無給であったが、最近3年間は日当をいただいている。外来手術室に予約するには、あらかじめ梅毒や肝炎の血液検査をする。この症例のように感染症が陽性の場合と、急患で未検査の場合には、図❷~❹のように紙のリネン類を使うので費用がかさむ。この患者さんは、抜歯9本の処置で請求額が18,600円だが、その半分以上の額がリネン代にかかった。医療とその原価ということで考えさせられた。

図❷ 患者さんに着ていただく紙製のガウンも、高価

図❸ 抜歯をする術者の術衣と患者さんにかける紙製のリネン類にも費用がかかる

図❹ スリッパにもカバーをかけ、床にはステリハイドL®をふくませた

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