Dd診断力てすと『原因不明の「いつもと違う」痛み』デンタルダイヤモンド 2019年1月号

栗田 浩 1) Hiroshi KURITA
中西義崇 2) Yoshitaka NAKANISHI
1)信州大学医学部附属病院 特殊歯科・口腔外科
2)浅間南麓こもろ医療センター 歯科・口腔外科


図❶ パノラマX線写真。疼痛の原因となりそうな異常所見は認めない

図❷ CT画像。頭頸部領域に、疼痛の原因となりそうな病変は描出されていない


患者:62歳、女性
主訴:右側下顎歯肉の疼痛
既往歴:高血圧症、B型肝炎、脂質異常症、白内障、特発性難聴、変形性膝関節症、耳鳴り
家族歴:B型肝炎(娘)
現病歴:初診4ヵ月前より、右側下顎歯肉の疼痛を自覚するようになった。疼痛が持続したため、かかりつけ歯科医院を受診したが、口腔内に異常な所見は認められなかった。原因精査および加療を目的に、当科紹介となった。
現症:顔貌左右対称。右側オトガイ孔部に、圧痛と右側下唇部の間欠的なしびれと知覚鈍麻を認めた。7⃣は欠損(数年前に抜歯済み)。右側下顎臼歯部に、歯の打診痛や動揺などは認めなかった。
臨床検査所見:特記事項なし
画像検査所見:パノラマX線写真(図❶)で、右下顎臼歯部に根尖病巣や歯周炎の所見は認めなかった。CT画像(図❷)でも、頭頸部に異常陰影は認めなかった。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 神経障害性疼痛
 (抜歯後後遺症)
症候性三叉神経痛
③ 歯科心身症