Dd診断力てすと『下顎臼後部の腫脹』デンタルダイヤモンド 2017年11月号

榊原典幸
Noriyuki SAKAKIBARA
日鋼記念病院 歯科口腔外科
〒051-8501 北海道室蘭市新富町1-5-13


図❶ 初診時の口腔内写真

図❷ 初診時のMRI画像(造影)


患者:32歳、女性
主訴:右側臼後部の腫脹
既往歴:特記事項なし
現病歴:1年前より右側臼後部の腫脹を自覚するも、疼痛などの症状がないため放置していたが、徐々に増大してきたため近医歯科を受診。精査、加療目的に当科へ紹介受診となった。
現症:全身状態概良。口腔外所見では顔貌は左右対称、両側頸部リンパ節に異常所見は認めなかった。口腔内所見では右側下顎臼後部に径10㎜大の類球形で、弾性やや硬、可動性のある腫瘤を触知した。被覆粘膜の色調はやや青紫色を呈しており表面は滑沢、周囲に硬結は触知せず、自覚症状は腫脹感があるのみだった(図❶)。
初診時臨床検査所見:血液学的な異常所見なし
画像所見:MRI画像では、遠心舌側臼後部に径約11㎜大の境界明瞭な腫瘤性病変を認め、病変はT1で低信号、T2で高信号と低信号部分に分かれ、Gd造影ではT2で低信号を認めた部位が造影されていた。また、拡散強調像では、T2で低信号を示した部位に拡散係数ADCの低下を示す所見を認めた(図❷)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 粘表皮がん
粘液嚢胞
③ 多形腺腫

リンパ管血管奇形