吉峰正彌 鴨井久博
Masaya YOSHIMINE Hisahiro KAMOI
日本医科大学千葉北総病院 歯科
〒270-1694 千葉県印西市鎌苅1715


a:口腔内写真
b:X線写真
図❶ 初診時 (上顎左側臼歯部)
患者:85歳、男性
主訴:上顎左側の奥歯が痛みや腫れを繰り返していて、すっきりしない。
現病歴:1年以上前より、かかりつけ歯科医院にてlu7の歯周炎および根尖性歯周炎を指摘され、抗菌薬の処方、およびスケーリング、イリゲーションなどの歯周治療と根管治療を受けていた。歯科治療は終了したが、その後も歯肉腫脹および疼痛の消退を繰り返していたため、当科受診となった。
既往歴:心筋梗塞、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)抗凝固剤を服用中。
現症:7⃣の打診痛・咬合痛が見られた。また、歯肉辺縁の腫脹による自発痛を認めた。
口腔内所見:7⃣の頬側から遠心にかけては、10mmを超える歯周ポケットが認められ、頬側の歯肉に腫脹が見られたが、動揺は見られなかった。智歯は、歯肉に覆われている状態であった(図❶a)。
X線所見:7⃣の根尖部付近の不透過像と、近接が見られた(図❶b)。
Q 最も疑われる疾患名は?
① 智歯周囲炎
② 慢性根尖性歯根膜炎
③ 癒合歯による慢性炎症
④ 歯根嚢胞