臨床に役立つすぐれモノ『ウルトラファインバブル生成ノズル UFB DUALⓇ』デンタルダイヤモンド 2025年3月号

メンテナンスなしで医院の水回りを清浄化
安心して治療に専念できる画期的なノズル

Akinobu FURUYA
古谷彰伸
千葉県・勝田台フルヤ歯科

ウルトラファインバブル生成ノズル UFB DUAL
※価格などの詳細については下記へお問い合わせください。
[問い合わせ先]
株式会社ライヴス
〒150-0012 
東京都渋谷区広尾1-13-1 フジキカイ広尾ビル5階
TEL .03-5792-4408
https://dental.ultrafinebubble.jp/

UFB DUAL導入の背景

 「UFB DUAL」(ライヴス:図1)は、歯科給水を衛生的に保つのに有効な、水道元栓設置型のウルトラファインバブル(以下、UFB)生成ノズルである。
 本製品は4年ほど前にも当コーナーで紹介されたため、ご存じの先生方も多いかもしれない。筆者も大学の先輩である三好敬三先生(東京都開業)の当該記事を拝読して、当院に導入を決めた一人である。
 当院周辺の地域は井戸水を主体にしている水道水のためか、時折、蛇口やシリンジの先端などに黒い藻のようなものが発生し、歯科器具の給水ライン(コントラやエアースケーラーなど)の詰まりに苦悩していた背景がある。これらの対応策として、UFB DUALを導入するに至ったのである。

図❶「UFB DUAL 20A」本体(2024年に材質の仕様が変更。効果に変更はない)

水を清潔に保つ必要性

 多くの歯科医院では、感染リスクを回避するために、サクションによるエアロゾル除去や、フラッシングを行っていると思われる。しかし、このような感染対策を行っていても、3、4年ほど経過したユニットの給水ラインにはバイオフィルム発生の可能性が高くなる。これは、歯科ユニットの給水系統が細くて長いうえに複雑な管路の構造をしており、細菌やバイオフィルムが形成しやすい環境にあることが挙げられる。
 また、水道の元栓から距離が離れるに従い、残留塩素濃度が低下することも要因として考えられる。とくにテーブル内部からハンドピースに至るまでの給水ライン内は構造的に最も複雑であり、水の勢いも弱いため、細菌類増加の温床となりやすい。加えて、給水ラインに発生したバイオフィルムは、治療中に発生する水流によって剥がれ、患者の口腔内や体内へ入る可能性があり、生体に悪影響を及ぼすことも考えられる。そのうえ、その危険は患者だけではなく、歯科医師や歯科衛生士などスタッフにも及ぶことも危惧される。
 上水道由来の細菌種は毒性は弱いとされているが、外科的処置の際の治療水には細菌類が含まれないほうが好ましい。
 そこで、歯科医院の上水を清潔にまるごとUFB水化が可能な、UFB DUALをお勧めしたい(図2)。
 これまでも電解した次亜塩素酸水や消毒薬による洗浄などの方法があったが、機能水や薬剤を使用すると治療器具が腐蝕しやすくなる懸念があった。本製品ではその心配がない点を評価したい。

図❷ 歯科医院におけるUFB水の供給イメージ[画像提供:㈱ライヴス]

長期間消えない気泡UFB

 UFBと聞くと、近年人気の高級シャワーヘッドのイメージが強く、美容関係のものと思われがちだが、実は半導体や食品工場、医療現場においては透析病院など、実に汎用性の高い、わが国発祥の技術である。
 バブル(気泡)というと、炭酸水やシャボン玉のように瞬時に消えてしまうイメージがあるが、UFBは1㎛未満というナノサイズ(かつては、ナノバブルと呼ばれていた)の超微細な気泡である。よって、浮力が働かず数ヵ月~1年と長期間水中に溶存している。そのため、夜間や休診日でもUFBが消失してしまう心配はなく、十分に洗浄効果を発揮してくれる。

歯科医院においてUFB DUALを使用するメリット

①ユニットチューブに溜まるバイオフィルムの剝離と再付着防止

 UFBにはさまざまな効果があるが、特徴の1つである「洗浄効果」は、歯科医院にとって多くのメリットがある。UFBはナノサイズのため、細く複雑な管路の構造でも隙間に入り込むことが可能である。なおかつ、UFBはマイナスに帯電しているため汚れを吸着する作用があり、これが歯科ユニットの給水ライン内に蓄積しやすいバイオフィルムを剥離して洗い流してくれる(図3、4)。さらに、清浄化された配管の内壁にはUFBが付着し、汚れが再付着しないようにコーティングしてくれる。
 また、同様にスピットンも汚泥(バイオフィルムやスケールなど)が配管内に固着しにくくなるため、詰まりの発生が抑制される。
 当院でも問題であった黒い藻の発生が、ゼロではないものの激減し、歯科器具の詰まりもほぼ解消され、給水ラインの環境が改善された。

図❸ UFB DUAL 設置前のユニットチューブ

図❹ UFB DUAL 設置80日後のユニットチューブ

[図3、4はカナザキ歯科(愛媛県)の金﨑伸幸院長のご厚意により、提供いただいた]

②治療器具が腐蝕する心配がない

 前述のとおり、酸性薬品を使用しての洗浄は、金属製の治療器具やユニットのチューブが傷んでしまう可能性が否定できない。しかし、UFBの構成成分は水と空気であり、人体への影響がなく、治療器具が腐蝕する心配もない。

③石膏トラップの清掃負担を低減

 気泡が長期間消失することなく、洗浄力の高いUFBは石膏トラップの清掃にも一役買ってくれる。石膏が硬く固まってしまうと、清掃に手間がかかるが、UFBは石膏の固着を防ぎ、それに伴い臭いの発生もかなり低減される。UFBは目視では確認できないが、臭いの低減によって筆者は効果を実感した。

④UFB DUALは外気を取り込まず、水圧も落ちない特許取得製品

 UFBを発生させる製品のなかにはコンプレッサーで空気を注入するものや、吸気口から外気を取り入れるものなどがあるが、歯科医院で使用する場合は、雑菌やウイルスなどが潜んでいる外気を取り込むのは避けたいところである。
 その点、本製品は外気を取り込まず、もともと水道水に溶存している空気をキャビテーションでUFB化させているため、清潔である。
 また、キャビテーションでUFBを発生させるノズルの多くは水圧が落ちてしまう難点があるが(そういった製品の多くは節水○%と謳っている)、本製品はその弱点を特許技術で克服している。そのため、複数のユニットや消毒室で同時に水を使用しても水圧が弱くなるといった心配は無用である。

⑤UFB DUALは1ヵ所接続で医院全体をカバー

 ユニットや石膏トラップでの効果を紹介したが、これらは本製品を1ヵ所接続するだけで得られる。
 本製品は手のひらサイズのノズルだが、医院の給水管の大元に1ヵ所接続するだけで、医院全体にUFB水が供給される。大元に接続するため、上水の強い水圧がつねにノズルにかかり、UFBの発生に必要な水圧が十分に確保され、医院全体の給水管が常時UFB水で満たされた状態になる。これにより、オートクレーブの庫内や洗浄用シンクの清浄化にも効果が得られる。

⑥初期費用のみで導入でき、メンテナンスも不要

 これまで歯科医院の給水ラインを清浄に保つ機材といえば、薬剤やフィルター、電源が必須であり、交換費用や手間、置き場所の確保などを工面し続けなければならなかった。
 しかし、本製品は水圧だけでUFBを生成し続けてくれるため、諸々の交換やメンテナンスをいっさい必要としない。毎日の治療時にUFB水を使用するだけで、自然と給排水ラインがきれいになるため、容易に使用できる。
 当院では導入後3年経つが、清潔な給水が維持され続けている(図5、6)。また、初期費用のみで導入が完了し、電気代やメンテナンス費用がかからないのは経費削減にも繋がり、うれしいメリットである。

図❺ 当院は全館浄水器の前にUFB DUAL を設置した

図❻ 当院は自宅の給水配管が別のため、それぞれに接続した

⑦工事時間は約3時間。工事後すぐにUFB水が使用可能

 本製品の導入にあたって、給水配管の工事が発生するが、これも約3時間で完了するため、医院の休診日内で行える。また、当院は一戸建ての歯科医院だが、テナント型の歯科医院でも床下の配管を利用するなどして導入可能である(図7、8)。
 当院では、もともと全館浄水器を導入していたが、UFBは浄水器などで使用されるフィルターの目の粗さより微細であるため、UFBが消失する心配はなく、併用している(図5)。ただし、UFBはRO膜(Reverse Osmosis Membrane:逆浸透膜)という純水を精製するフィルターのみ通過できない。RO膜を使用していて本製品導入を検討されている先生方にはご注意願いたい。また、医院併用住宅の場合は家庭でもUFB水が供給されるメリットがある。

図❼ テナント設置例A(床下の給水管に接続)

図❽ テナント設置例B(屋外の給水管に接続)

[図7、8画像提供:㈱ライヴス]

UFB DUALは歯科医院にとって有益である

 本製品は、歯科医院にとって大きな課題である「院内の清潔な水環境の維持」を実現し、高いレベルの歯科医療体制構築の一助となると思われる。
 ここまでで列挙した本製品のさまざまな特長や効果は、日々の診療や洗浄で水を使用するだけで得られ、忙しい歯科医院には非常に便利で有益な製品といえる。
 給水ラインの清浄化を検討している先生、これから開業する先生方に、お勧めしたい装置である。

勝田台フルヤ歯科
〒285-0855 千葉県佐倉市井野1554-3

デンタルダイヤモンド 2025年3月号 表紙

▽月刊デンタルダイヤモンドのバックナンバーはこちら▽
https://www.dental-diamond.co.jp/list/103

▽Q&Aのバックナンバーはこちら▽
https://dental-diamond.jp/qanda.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です