和久井崇大 Takahiro WAKUI
俵藤俊暉 Toshiki HYODO
川又 均 Hitoshi KAWAMATA
獨協医科大学医学部口腔外科学講座
〒321-0293 栃木県下都賀郡壬生町大字北小林880
患者:62歳、男性
初診:20XX年7月
主訴:左側舌縁部の接触痛
現病歴:20XX年5月ごろより左側舌縁部の接触痛を自覚したため、近在歯科医院を受診した。臨床所見よりアフタ性口内炎と診断され、ステロイド軟膏を塗布し経過観察を行っていた。しかしながら、症状の改善が得られず舌縁部に潰瘍を伴う腫瘤が認められたため、精査加療目的に当科紹介受診となった。
既往歴:2型糖尿病、白内障
内服薬:イプラグリフロジンL−プロリン(スーグラ®)
家族歴:特記事項なし
現症:
全身所見;体格中等度、栄養状態は良好で顔貌は左右対称であった。オトガイ下部に示指頭大で可動性のないリンパ節を1個触知し、両側の顎下部に示指頭大、弾性硬で可動性に乏しいリンパ節を複数個触知した。開口障害は認めなかった。
口腔内所見;左側舌縁部から口底部に、23×14㎜大の周囲硬結を伴う腫瘤性病変を認めた。腫瘤の表面に一部潰瘍形成を伴い接触痛がみられたが、舌の知覚鈍麻や味覚異常は認めなかった(図1)。
臨床検査所見;造影CT画像にてオトガイ下部および顎下部、頸部に造影効果を伴った複数の腫大したリンパ節を認め、造影MRI画像では左側舌縁部から口底部にかけて造影効果を伴う病変を認めた。FDG-PET/CT画像では、左側舌縁部および頸部リンパ節にFDGの異常集積を認めたが(図2)、その他の臓器にFDGの異常集積はみられなかった。
Q 最も疑われる疾患名は?
① 舌癌
② 口腔梅毒
③ ウイルス感染症(ヘルペスウイルス属、麻疹、風疹など)
④ 悪性リンパ腫
\こちらの回答は月刊 デンタルダイヤモンド 2024年11月号に掲載中!/
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月刊デンタルダイヤモンド誌に長年掲載され、読者の先生方に人気の「Dd診断力てすと」。
今回は2024年11月号より、「舌縁部の潰瘍」についてです。