「歯の黄ばみが気になる」「結婚式など大切なイベントのために、歯を美しくしたい」という方におすすめなのが医療ホワイトニングです。
ドラッグストアなどではホワイトニングに対応した歯磨き粉や薬剤も販売されていますが、このような非医療ホワイトニングと医療ホワイトニングにはどういった違いがあるのでしょうか。
気になる費用や適応条件、施術にあたってのリスクなども詳しく解説します。
Contents
医療ホワイトニングとは?

医療ホワイトニングとは、歯科クリニックで行われるホワイトニングです。
歯科医師や歯科衛生士によって施術が行われ、最新の薬剤や技術を使用し高品質の医療ホワイトニングを提供するクリニックも存在します。
ホワイトニングと聞くと歯磨き粉や専用のジェル、マウスウォッシュなどをイメージする方も多いと思いますが、これらは非医療ホワイトニングとよばれ医療ホワイトニングとは区別されます。
非医療ホワイトニングとの違い
医療ホワイトニングと非医療ホワイトニングの最大の違いは、使用する薬剤が異なる点にあります。
医療ホワイトニングでは過酸化水素や過酸化尿素といった高濃度の薬剤が用いられ、歯を科学的に漂白することができます。
漂白効果が非常に高いため、非医療ホワイトニングよりも効果が実感しやすく長期間にわたって持続するメリットがあります。
ただし、薬剤の取り扱いを誤ると危険であるため歯科クリニックでしか施術を受けられません。
一方、非医療ホワイトニングは歯の表面の着色した汚れをとるだけです。
医療ホワイトニングに比べて効果は限定的ですが、歯科クリニックに通院する必要がなく自宅でも手軽に行えるのが特徴です。
医療ホワイトニング | 非医療ホワイトニング | |
---|---|---|
漂白の仕組み | 歯を科学的に白くする | 歯の表面を白くする |
施術する人 | 歯科医師・歯科衛生士 | 本人 |
即効性 | 高い施術法もある | 限定的 |
効果の持続期間 | 長い | 短い |
副作用 | 歯科医師のもとで リスクをおさえて行える | さまざまなものがあり リスクの判断がしにくい |
1回あたりの施術費用 | 高額 | 安価 |
ちなみに、歯を白くする方法は薬剤を使用する方法以外にも、白い被せ物や詰め物をしたり、マニキュアのようなコーティング材を塗ったりする方法もあります。
医療ホワイトニングの目的と効果
医療ホワイトニングを希望される方の多くは、歯を白くすることを目的に歯科クリニックへ来院します。
しかし、実はホワイトニングで用いる薬剤には殺菌効果もあるため、むし歯や歯周病の予防も期待できるのです。
加えて、薬剤には歯の表面に付着したペリクルとよばれる膜を除去し、再石灰化を促す効果もあります。
その結果、食後の歯磨きを習慣づけることで再石灰化が進み、強い歯を維持しやすくなります。
関連記事:【歯科出版社厳選】ホワイトニングに役立つおすすめ7選!
医療ホワイトニングの種類と特徴

一口に医療ホワイトニングといってもいくつかの種類があり、施術法が異なります。それぞれの特徴を詳しく解説しましょう。
オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングとは、歯科クリニックで当日中に施術を完結する方法です。施術の手順は以下の通りです。
- 歯の表面をクリーニングする
- 歯ぐきに薬剤が触れないよう保護する
- 歯の表面に専用のジェルを塗布する
- 十分に乾いたらジェルを剥がす
複数回の通院が必要なく即効性も期待できますが、ホームホワイトニングやデュアルホワイトニングに比べると効果が持続しにくい傾向があります。
そのため、結婚式など重要なイベントを控えており、一時的に歯を白くしたいという方におすすめです。
ホームホワイトニング
ホームホワイトニングとは、歯科クリニックで専用のマウスピースを作成し、自宅で薬剤を使用して行うホワイトニングです。
オフィスホワイトニングに比べると即効性は低く、効果が現れるまでに数週間程度かかりますが、歯の内部からじっくりと白くするため、自然な仕上がりと長期間の効果が期待できます。
デュアルホワイトニング
デュアルホワイトニングは、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用する方法です。
まずはデュアルホワイトニングで歯を白くした後、ホームホワイトニングで効果を持続・強化するため、即効性と持続性の両方を兼ね備えています。
それぞれのホワイトニングのメリットを活かせる一方で、コストが高く治療に要する時間と手間もかかります。
医療ホワイトニングで使用される薬剤

医療ホワイトニングで使用される代表的な薬剤と、それぞれの特徴を解説しましょう。
過酸化水素
過酸化水素は高い漂白効果を持ち、歯の表面や内部に入り込んだ色素を分解することで歯を白くします。
特にオフィスホワイトニングでは高濃度の過酸化水素が使用されることが多く、専用の光やレーザーを併用することで短時間で優れた効果を得られます。
ただし、刺激が強い薬剤のため口腔内に付着すると火傷をするおそれがあり、施術は必ず歯科医師の管理のもとで行われます。
過酸化尿素
過酸化尿素は徐々に過酸化水素に分解されていく特性があり、長時間の使用に適していることからマウスピースを装着するホームホワイトニングに用いられます。
過酸化水素に比べると即効性は劣りますが、刺激が少ないため知覚過敏のリスクを抑えながら自然な白さを目指すことができます。
ポリリン酸
ポリリン酸は過酸化水素と混合し使用されることの多い薬剤で、漂白効果に加えて歯の表面をコーティングする作用も持っています。
従来の過酸化水素のみの薬剤に比べて刺激が少なく、施術後に歯の表面が滑らかになり、汚れや着色が再付着しにくくなるというメリットもあります。
加えて、歯に優しい成分のため、知覚過敏が心配な方や歯のダメージを最小限に抑えたい方にも適しています。
炭酸カルシウム
炭酸カルシウムは、ホワイトニングだけでなく歯の表面のクリーニングにも用いられる成分です。
微細な粒子が歯の表面に付着したステイン(着色汚れ)やプラーク(歯垢)を除去し、本来の歯の白さを引き出します。
漂白作用自体は過酸化水素ほど強くありませんが、ホワイトニング前の歯の準備やホワイトニング後のメンテナンスに用いられることもあります。
歯を傷つけにくい成分のため、デリケートな歯にも比較的安心して使用できるのが特徴です。
関連記事:【開塾にあたって】実践!医療ホワイトニング塾|本のエッセンス
医療ホワイトニングの価格相場

審美目的の医療ホワイトニングは保険が適用されず自由診療となるため、気になるのはその費用です。
施術ごとの料金相場
医療ホワイトニングは健康保険が適用されない自由診療なので、歯科医院によって金額が異なります。
歯科医院やホワイトニングの方法やお口や歯の状態によって金額や詳細は異なりますが、約3~4万円くらいの費用がかかります。
もし、むし歯や歯周病の治療が必要な場合は、別途健康保険が適用される保険診療にて行い、その後ホワイトニングを開始します。
また、ホワイトニング後に天然歯と修復物の色調が調和しない場合は、白い歯の色調に合わせて再修復します。再修復については、保険診療または自由診療のどちらでも選択できます。
費用や方法は歯科医院ごとに異なることがあるので、内容をしっかり確認してから医療ホワイトニングをうけるようにしましょう。
参考:『知りたい!ホワイトニング ~エピソードで読み解く医療ホワイトニング~』
ちなみに、非医療ホワイトニングの場合は500円から数千円程度でさまざまな薬剤が販売されており、費用の面だけで比較すると大幅に抑えられますが、期待される効果や満足度は医療ホワイトニングのほうが高い傾向にあります。
医療ホワイトニングの適応と注意点

医療ホワイトニングはすべての人に適しているわけではなく、歯の状態や持病の有無などによっては施術ができないこともあります。
また、施術にはさまざまなリスクも伴うため、これらも十分に理解しておかなければなりません。
適応条件
以下に該当する方は医療ホワイトニングの施術が難しいケースがあります。
- 重度のむし歯や歯周病がある方
- 妊娠中・授乳中の方
- 重度の呼吸器疾患やアレルギーのある方
- 無カタラーゼ症、光線過敏症の方
- 永久歯がまだ十分に完成していないお子さん
医療ホワイトニングを受けるためには、歯やお口の状態に異常がないことが前提となるため、むし歯や歯周病がある場合、先にこれらの治療を行う必要があります。
また、特に注意しなければならないのが持病の有無です。
特に重度の呼吸器疾患やアレルギーのある方は、薬剤の刺激によって咳き込みが重症化する可能性が高いのに加え、服薬中の薬との組み合わせによっては健康被害をもたらすおそれがあるため、事前に歯科医師との十分な相談が不可欠です。
効果の現れ方
医療ホワイトニングの効果には個人差があり、もとの歯の色やエナメル質の状態によっては理想通りの白さに届かないこともあります。
また、神経のない歯(失活歯)は通常のホワイトニングでは白くならず、別のアプローチが必要になる場合もあります。
さらに、施術後しばらく経つと飲食物や生活習慣の影響で「色戻り」が起きる可能性もあるため、効果を維持するためには定期的なメンテナンスが求められます。
想定されるリスクと注意点
ホワイトニング後には一時的に知覚過敏症状が現れることがあります。
多くの場合、翌日までには症状が見られなくなりますが、知覚過敏や痛みが続く場合には歯科クリニックに相談しましょう。
また、施術直後は歯の表面がデリケートになっており再着色のリスクが高いため、コーヒーや赤ワイン、カレーなどは口にしないことも大切です。
関連記事:
知りたい!ホワイトニング ~エピソードで読み解く医療ホワイトニング~|本のエッセンス
まとめ
ホワイトニング用の歯磨き粉や薬剤を使用すれば自宅でも手軽にホワイトニングができますが、より高い効果を実感したい方は歯科クリニックでの医療ホワイトニングがおすすめです。
医療ホワイトニングには即効性が期待できるオフィスホワイトニングや、長期間にわたって効果が持続するホームホワイトニング、両者のメリットを持ち合わせたデュアルホワイトニングがあり、費用もまちまちです。
また、施術にあたっては適応条件や副作用のリスクも考慮する必要があるため、歯科医師と相談しながら自分にとって最適なプランを検討してみましょう。
『知りたい!ホワイトニング〜エピソードで読み解く医療ホワイトニング〜』
【Amazon】 https://amzn.asia/d/9agQ4nK
【デンタルダイヤモンド社】 https://www.dental-diamond.co.jp/item/1232