Dd診断力てすと『頬粘膜からの出血』デンタルダイヤモンド 2018年10月号

武内保敏
Yasutoshi TAKEUCHI
水戸済生会総合病院 歯科・口腔外科
〒311-4198 茨城県水戸市双葉台3-3-10


図❶ 左手背および前腕部に紫斑を認めた

図❷ 両側大腿部に紫斑を認めた

図❸ 右頬粘膜にびらんおよび出血を認めた


患者:82歳、女性
主訴:頬粘膜からの出血、疼痛
既往歴:陳旧性心筋梗塞、心房細動、高血圧症、変形性膝関節症
現病歴:1ヵ月前より、両側頬粘膜の疼痛を主訴に近歯科医院を受診し、カンジダ症の診断でフロリード®ゲルが処方された。その後も症状の改善が乏しかったが、10日前より四肢の皮下出血斑を自覚するようになった。2日前より頬粘膜からの出血、疼痛が強くなってきたため、再度近歯科医院を受診したところ、精査加療目的のため当科に紹介受診となった。
現症
口腔外所見:左手背、左前腕部、大腿部に紫斑を認めた(図❶❷)。
口腔内所見:両側頬粘膜に発赤、びらんを認め、易出血性であった(図❸)。右舌縁部にも紫斑を認めた。口腔粘膜に白斑は認めなかった。
常用薬:フロセミド、ジゴキシン、スピロノラクトン、ニコランジル、ワルファリンカリウム、酸化マグネシウム。
臨床検査所見:WBC6,100/μL、RBC483×104/μL、Hb10g/dL、MCV75.2fL、MCH22.1pg、MCHC29.4%、PLT33×104/μL、AST27U/L、ALT16U/L、LDH347U/ L、BUN35mg/dL、CRE25mg/dL、CRP1.3mg/dL、PT-INR>10.0

Q 最も疑われる疾患名は?

① 再生不良性貧血
薬剤による出血傾向
③ 特発性血小板減少性紫斑病

播種性血管内凝固症候群