Dd診断力てすと『舌辺縁部の腫脹』デンタルダイヤモンド 2020年6月号

長谷剛志 Takeshi HASE
公立能登総合病院 歯科口腔外科
〒926-0816 石川県七尾市藤橋町ア部6-4番地

図❶ 初診時の口腔内写真

図❷ MR画像

図❸ 超音波画像



患者:34歳、女性
主訴:舌にできものがあり、徐々に増大している気がする。
現病歴:半年ほど前より、舌の左半側の腫脹を自覚していたが放置。最近、食事中に誤って噛むことや食塊形成がしにくいことを家族に相談したところ、病院受診を促され初診となった。
家族歴:特記事項なし
既往歴:特記事項なし
現症:体格は中肉中背。体温は36.7℃で、全身倦怠感なし。顔貌に左右差なく、所属リンパ節に特異的所見は認められなかった。舌の左側辺縁部に直径約30mm大、弾性硬で可動性のない腫瘤が認められた。腫瘤の表面は正常舌粘膜の色調であったが、食事中の誤咬により一部咬傷痕が認められた(図❶)。自発痛や圧痛、舌の運動障害、発音障害、知覚異常はみられなかった。
血液検査所見:特記すべき所見なし
CT画像所見:舌の左側辺縁から舌筋層内にかけて淡い低吸収腫瘤が認められ、造影では辺縁優位に不均一な造影効果がみられた。
MR画像所見:舌の左半側にT1強調画像で周囲舌筋よりやや低信号、T2強調画像でやや不均一な高信号を呈した。辺縁部から中心部にかけて造影領域が広がっており、近傍に腫大リンパ節は認められなかった(図❷)。
超音波画像所見:舌の左半側筋層内に22×21×28mmの境界明瞭で球形の腫瘤が認められた。内部は比較的均一な低エコーを呈し、ドプラーで血流は豊富にみられた。境界明瞭で周囲へのあきらかな浸潤傾向は認められなかった(図❸)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 舌がん
線維腫
③ 神経鞘腫

血管腫