Dd診断力てすと『緩徐に進行した開口制限』デンタルダイヤモンド 2021年11月号

小木信美 Nobumi OGI
愛知学院大学歯学部 顎口腔外科学講座
〒464-8651 愛知県名古屋市千種区末盛通2-11


図❶ 初診時、自力の開口量(a)と強制の開口量(b)はともに26mm

図❷ 同、パノラマX線写真


患者:20代、女性
主訴:口が徐々に開かなくなってきた。
現病歴:以前は口の開けづらさはなく、普通に食事ができていた。しかし、最近になり咀嚼による痛みはないものの、口が大きく開かないため食物を口に入れづらいことを自覚していた。近在の歯科を受診した際に開口制限を指摘され、紹介来院した。
既往歴:特記事項なしbr> 現症
口腔外所見:顔貌は左右対称で左右の下顎角に張りがみられた。口腔内外に炎症所見はなかった。
口腔内所見:自力の開口量は26mmで開口制限があるが、開口時に痛みはなく下顎正中の側方偏位も認めなかった。万能開口器で強制的に開口させても極めて硬く26mm以上の開口は困難であったが、強制開口による痛みはなかった(図❶)。開口時に左右の頬粘膜を触診すると下顎上行枝の前方で縦方向に硬い索状物を触知した。
画像所見:パノラマX線写真で顎関節部に著変はみられないが、左右の下顎角が若干大きい印象であった(図❷)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 顎関節症
顎関節強直症
③ 化膿性顎関節炎
④ 咀嚼筋腱・腱膜過形成症