Dd診断力てすと『新生児の口腔内腫瘤』デンタルダイヤモンド 2017年3月号

池田 哲也
Tetsuya IKEDA
杏林大学医学部付属病院 顎口腔外科/耳鼻咽喉科
〒181-8611 東京都三鷹市新川6-20-2


図❶ 初診時の口腔内所見

図❷ CT所見。右頬粘膜に石灰化物を認める

図❸ 超音波検査


患者:生後17日、男児
主訴:出生時より口腔内の腫瘤を指摘され、近医小児科より当科に紹介された。
両親ともに既往はなく、在胎期間は41週と1日、自然分娩での出産であった。出生時の体重、身長はそれぞれ3,461gと50.5cmで、アプガースコアは1分時で9点、吸啜反射、栄養状態および呼吸状態はすべて良好であった。
現症:高血圧症、胃炎
現病歴
全身所見;左頬部に副耳を認める以外に所見はなく、授乳や発育にも問題はなかった。
口腔内所見;右頬粘膜から発生する有茎性の表面平滑、弾性硬の腫瘤を認めた(図❶)。腫瘤は可動性があり、縦25mm、横20mm程度であった。その他、先天性歯などの異常所見はなく唾液の分泌も良好であった。
血液検査:特記すべき所見なし
画像所見: CTにおいて腫瘤に一致して硬組織様の不透過像を認めた(図❷)。
超音波検査:あきらかな流入血管は認められず、複数の石灰化物を示す所見であった(図❸)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 粘液嚢胞
悪性腫瘍
③ リンパ上皮性嚢胞

異所性歯牙腫