Dd診断力てすと『口唇・口腔内のびらん』デンタルダイヤモンド 2022年2月号

濱田 傑 Noriyuki SAKAKIBARA
木下優子 Yuko KINOSHITA
榎本明文 Akifumi ENOMOTO
近畿大学病院 歯科口腔外科 〒589-8511 大阪府大阪狭山市大野東377-2


図❶ 初診時の口唇写真

図❷ 同、口腔粘膜写真

表(1) 血液検査➀

 WBC 5,460(好中球 66.5%、リンパ球 26.4%、単球 4.4%、好酸球 2.0%、好塩基球 0.7%)
 RBC 531万Na141AST19
 Hb 15.6K4.6ALT17
 Ht 47.3Cl103γGTP47
 PLT 21.6万Ca9.3HSV IGG206
 TP 7.3BUN12HSV IGM0.15
 ALB 4.0Creatinine1.03VZV IGG29.9
 A/G 1.2eGFR60VZV IGM0.20
 TB 1.1Glu76CMV抗原陰性
 CRP 0.418AMY39B-D-グルカン7未満

患者:52歳、男性
主訴:口腔周囲のびらんによる摂食障害
既往歴:高血圧症にて2ヵ月前からカンデサルタン内服。胆嚢結石にて31歳時に胆嚢摘出術(タバコ:10本/日、酒:週1回)。
家族歴:特記事項なし
現病歴:2ヵ月前より声が出にくくなり、近医耳鼻咽喉科を受診。1ヵ月程度で声が出やすくなったが、口腔内にびらんができ、軟膏を塗布したものの改善がないため、当科へ紹介となった。
現症:下唇、頬粘膜、舌縁部、舌下部にびらんがあり、接触痛で食事ができない。
全身所見: 160cm、70㎏。体温36.6℃。左右の眼球結膜に軽度充血が認められた。精査すると陰部にもびらんが見られ、右背部と左大腿部皮膚に弛緩性の水疱が認められた。
口腔内所見:下唇、頬粘膜、舌、歯肉に発赤、易出血性のびらんあり(図❶❷)。自発痛はないが、接触痛あり。
内視鏡所見:喉頭浮腫なし、声帯麻痺なし(表1)。

Q 最も疑われる疾患名は?

① 単純ヘルペス性歯肉口内炎
② ベーチェット病
③ 帯状疱疹
④ 尋常性天疱瘡
⑤ 落葉状天疱瘡